16/10/16 12:22:14.50 CAP_USER9.net
URLリンク(www.sankei.com)
今夏をわかせたリオデジャネイロ五輪。
テレビは8月の大会期間中、競技中継やハイライト番組を放送したが、視聴率の上ではNHKが民放を圧倒し、民放からは愚痴めいた声も上がっている。
NHKが突出した好成績を収めた背景を改めて整理すると…。
■NHKに「控えめに」
「NHKの『1人勝ち』と言ってもいいと思う」
テレビ朝日の早河洋会長兼CEOは9月27日の記者会見で、リオ五輪放送の視聴率を総括した。
ビデオリサーチの調べでは、五輪期間中に地上波で放送された全ての関連番組(中継、ハイライト番組)の平均世帯視聴率(関東地区、以下同じ)は、NHKが9・0%、民放が6・4%。
番組別に見ると、NHKが体操男子団体決勝(21・4%)、伊調馨選手が五輪4連覇を果たしたレスリング女子フリースタイル58キロ級決勝(20・7%)などで「20%超」を連発したのに対し、
民放で20%を超えた番組は、TBSが中継した陸上女子マラソン(22・6%)だけだった。
テレ朝の早河会長は、今後の大会について「NHKの協力、理解がポイントになる」として、「民放が選択したもの(競技の放送)は、(NHKでは)控えめにしていただく。そういう配慮を求めてもいいかなと、私は思っている」との考えを明かした。
■ハイライト枠に「たまらない」
早河会長は「控えめ」「配慮」の具体像を詳しく語らなかったものの、リオ五輪について「NHKは朝、昼、夕に五輪ゾーンを設けて放送していた。
地上波で(民放2局とNHKの)3波、(NHKの)BSも入れると4波が(五輪放送で)並ぶことになる」とも発言。
NHKの五輪中継・放送が多かったことに含みを持たせた。
リオと日本の時差は12時間。
NHKは今回、日本時間の深夜から翌日午前中の「生中継」に加え、午後6時台、7~8時台に「ハイライト」枠を設け、日本人選手のその日の活躍を細かく紹介した。
結果、NHKの夜のハイライト枠は15%前後の高視聴率を相次いで獲得した。
局別では今年度上半期、NHK(総合テレビ)が災害や番組改編の効果もあり、ゴールデンタイム(午後7~10時)で好調の日本テレビを抜いてトップに立った。
五輪放送が、その勢いを加速させる大きな要因になったことは確かだろう。
民放幹部は「(一般的に高視聴率が狙える)ゴールデンタイムに2本もベルトでハイライトを流されたら、たまらない」と本音を漏らす。
■赤字への危機感
ただ、大会によって時差の影響などはあるにせよ、過去の五輪でもおおむね、NHKが民放よりも高い視聴率を獲得する傾向は続いてきた。
民放側が愚痴を漏らす大きな理由は、五輪放送で赤字が続いていることへの危機感も影響しているようだ。
近年、五輪の放送をめぐってはNHKと民放が「ジャパンコンソーシアム(JC)」を組織し、共同で放送権や番組制作を負担している。
ただ、放送権料は年々、高騰しており、民放全体での収支は2012年のロンドン五輪に続き、リオ五輪も赤字だった。
JCは既に、20年東京五輪を含む18~24年の夏冬4大会の日本向け放送権を、計1100億円で一括取得することで国際オリンピック委員会(IOC)と合意している。
テレ朝の早河会長は
「18年平壌冬季大会と20年東京大会では時差がないので、深夜ではなく見やすい時間に中継を編成できる。長野五輪などでもそうだったが、高め(の金額)で広告を買ってもらえるのではないか」と期待するが、
民放連の井上弘会長(TBS名誉会長)は「厳しい状況は変わらない」との見方を示す。
〈中略〉
一方、NHKは五輪放送で「黒字・赤字」を判断するわけではないが、その財源は受信料。
高騰する五輪の放送権料に、国民・視聴者の多額の受信料が投入されていることは忘れてはならない。
民放と公共放送、さまざまな事情を抱えたまま、視聴者のニーズをすくい上げるための模索が続きそうだ。
産経新聞:2016.10.15 17:00更新