16/05/06 23:55:51.77 CAP_USER9.net
音楽に「食べログ」は必要ない?
そもそも音楽の好みは人それぞれ。本当に音楽にいい、悪いが言えるのでしょうか。音楽の食べログ的評価が必要なのか、今回はディープな問題に切り込みます。
芸人、DJとして活躍されているダイノジ・大谷ノブ彦さんと、音楽ジャーナリストの柴那典さんの響きあうナビゲーションをお楽しみください。
◆食べログ的評価と「青春パンクをバカにするな問題」
大谷ノブ彦(以下、大谷) ちょっと僕、今回は柴さんに聞いてみたいことがあって。
柴那典(以下、柴) おっと。なんでしょう?
大谷 音楽の評価って難しいというか、音楽の「いい」「悪い」って、簡単に言えるものじゃないんじゃないかなって。
柴 おお、けっこうヘビーな問いですね……。どうしたんですか急にまた。
大谷 いやね、最近マキタスポーツくんが「背景食い」という言葉を使ってて。僕もそれほんとあるな、って思ってるんですよ。
柴 「背景食い」ですか?
大谷 つまりね、食べ物のおいしいかまずいかって、それぞれの人の「背景」、つまり思い出や思い入れでずいぶん変わってくると思うんです。
柴 あー、それはわかる気がします。
大谷 例えばね、僕は一番好きなラーメンが吉祥寺のホープ軒なんです。そこは僕がまだ芸人始めたばかりのすごく貧乏な時に、同棲していた彼女とよく行ってた店で。深夜に三鷹から吉祥寺まで歩いて食べに行って、
その道中に僕は将来の夢を語っちゃったりして、彼女はニコニコしながらそれを聞いてくれてたんですね。二人で肩をすぼめて食べていたご馳走だから、そこのラーメンは僕にとって特別なんです。
柴 おお、いい話。
大谷 だからあの店に後輩は絶対連れてかないんです。下手に連れてって、ただ味だけを評価されるのが本当に腹が立つんですよ。思い出に土足で入ってこられた気がして。
柴 確かに特別な思い入れのあるものをよく知らないヤツに勝手に評価されるのってすごくイヤですよね。つまり自分にとっての本当のおいしさは、食べログのような他人の評価では測れないんじゃないか、という。
大谷 そう!
柴 僕も、スイーツがすごく好きなんですよ。
大谷 へー、柴さんスイーツ好きなんだ。
柴 だから食べログには言いたいことがたくさんあるんです。僕の好きな店にかぎって「私には甘すぎてイマイチ。2点」とかつけるヤツがいる。そういうのを見ると「いや、そもそも甘いもの食べに行ってるんだろ!」って憤りが(笑)。
大谷 スイーツは甘いものだろと!(笑)
柴 まあ、個人の好みはありますからね。でも、そもそも自分の好きなものに、他人の評価を気にすること自体、果たして必要なのか、と思ってしまう。
大谷 それって音楽も同じこと言えません?
柴 うんうん、音楽はグルメよりも、聴く人それぞれに背景や好みがありますからね。結局のところはそれが左右するところが大きいのに、音楽の良し悪しを評価する必要があるのかということですね。
大谷 これに気づいたのはもうひとつあってね、「青春パンクをバカにするな問題」なんですよ。
柴 「青春パンクをバカにするな問題」?
大谷 柴さん、青春パンクって聞いてました?
柴 ロード・オブ・メジャーとか175Rとかですよね。実は僕も通ってないです。
大谷 でしょ? ロキノン系のライターの人たちも、その辺なかったことにしてるでしょ?
柴 たしかに当時の原稿で「低俗な青春パンクと違ってこの曲は素晴らしい」みたいなこと書いてました。
大谷 それ! それそれ! 僕なんかめっちゃ悪口言ってましたからね!
柴 え!? 大谷さんも?
大谷 いや、すっかり忘れてたんですけど、こないだカミさんに聞いたら、「ラジオであんたすごい悪口言ってたよ、『10代のみんな、あんなの聴いちゃダメだ!』って」と言われて(笑)。
柴 確かに青春パンクって、それ以前のパンクロックを好きな人から見ると、ちょっと安っぽいというか、まがいものっぽいところがあって、そういうところがバカにされる風潮があった。
(>>2-5あたりに続く)
cakes(ケイクス) 2016年5月3日(構成:田中うた乃)
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