16/01/30 22:37:24.94 CAP_USER*.net
彼らは「アイドル」と呼ばれ、その仕事は「夢を売ること」だ。日本や韓国の若いポップスターは何十年も前から、10代の若者のあこがれの的だった。
しかし、華やかな表面の裏には鉄のこぶしで、アイドルを管理するタレント事務所がある。
最近、日本と台湾のアイドルが、相次いで公の場で謝罪する羽目になった。その様子は、タレント事務所がどれほど力を持っているかを、まざまざと浮き彫りにした。
日本と韓国のポップミュージックはそれぞれJ-POP、K-POPと呼ばれる。どちらも数百万ドル、数億円規模の産業だが、スターのほとんどは給料制で、それほどの収入はない。
若者たちはさらに、アイドルらしくふるまうよう、厳しい規則で縛られている。たとえば日本ではアイドルの多くはデート禁止で、結婚には許可が必要だ。
契約書の「デート禁止」条項を破ったアイドルが、評判を落としたと訴えられることもあった。人気女性グループAKB48の峯岸みなみさんは2年前、恋人と一夜を過ごして所属事務所の規則を破ったため、髪を剃って涙ながらに謝罪した。
作られたアイドル・グループは男女を問わず珍しくない。しかし音楽雑誌「ビルボード・マガジン」の東京在住アジア支局長ロブ・シュワルツさんは、「事務所がスターの私生活を管理するなど欧米では聞いたことがない」と話す。
「考えようによっては、映画会社が映画俳優を強力にコントロールした1940年代のアメリカと似ていると言えるかもしれない。しかし当時でさえ、たとえスターのデートや結婚を奨励はしないにせよ、これほどの強制はなかった」
韓国では日本よりも堂々と、アイドルがデートしたり結婚したりできるが、それでも事務所はスターの日常生活を非常に細かく管理している。
K-POP業界に詳しいマーク・ラッセルさんは、「1990年代にいくつか派手なスキャンダルが相次いだせいで、事務所は所属タレントのイメージをとても気にしている」と説明する。
「タレント事務所に行けば、若い研修生がみんな実に礼儀正しくお辞儀をしてくれる。壁にはタレントとしてのふるまい方について、事務所の規則を書いた張り紙が念押しするように貼ってある」
事務所が一部の若いスターに、美容整形手術を受けるよう勧めているのではという憶測もある。
アイドルの政治発言も、タブーの1つだ。16歳の台湾人スター、チョウ・ツウィさん(16)は先日、ウェブサイト番組の中で台湾の旗を振ったことが問題視され、台湾独立を支持していると騒がれてしまった。
チョウさんが所属する韓国のJYPエンターテインメントは、本人の謝罪ビデオをネットに掲載して対応した。
怒る中国人ファンをなだめるために無理やり謝罪させたわけではないと、事務所は強要を否定した。しかし、スキャンダルは本人だけでなく事務所全体の問題なのだと、話し合いが行われたはずだとラッセルさんは指摘する。
しかしK-POPが人気の他の市場で彼女の謝罪ビデオがどう受け止めらるか、事務所側は考えていなかった。謝罪は若いスターだけでなく、台湾にとっても屈辱的だと多くの台湾人が受け止め、強く抗議した。
ラッセルさんは「韓国では謙虚な態度をとても重視するが、韓国以外ではやりすぎだと受け止められることもある」と説明する。
その数日後には隣国の日本で、ベテラン男性アイドルグループSMAPのメンバーが黒い服装で自分たちのレギュラー番組「SMAPxSMAP」に登場し、沈痛な面持ちで深々と頭を下げて謝罪した。
SMAPの過ちは、所属するジャニーズ事務所から独立しようとしたことだった。
解散の噂に対する謝罪はファンにだけ向けたのではなかった。SMAPは、日本の芸能界で最も影響力が強く、かつ毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい存在のひとり、ジャニーズ事務所の創業者で84歳のジャニー喜多川さんにも謝罪したのだ。