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仰々しかった総裁選会見 安倍首相が維新を気取る気味悪さ|日刊ゲンダイDIGITAL
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2018年8月28日
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またもや「明治維新」である。
延ばしに延ばした自民党総裁選への出馬表明。
安倍首相は26日、視察先の鹿児島県で、雄大な桜島をバックに立候補の決意を語った。
地方での出馬表明は異例。地方票に重きを置いているというアピールとともに、鹿児島を選んだのは、自身の地元である山口との「薩長同盟」が明治維新の契機となったことにちなんだためだ。
直前に出席した会合の演説で、安倍は、「薩長で力を合わせて、新たな時代を切り開いていきたい」と訴えてもいる。
出馬表明はNHKで生中継され、視聴者が恥ずかしくなるほどのカメラ目線で語りかける安倍の表情は、いかにも演技がかっていた。桜島をバックという演出もわざとらしすぎて噴飯ものだ。
出馬表明当日の夜のNHK大河ドラマ「西郷どん」のタイトルは「薩長同盟」で、オープニング音楽のラストで映し出される桜島の映像の上に、その文字がドーンと乗っかっていた。
当然、出馬表明は、この日の「西郷どん」のタイトルを意識した上でのことだろう。軽薄な安倍の側近が考えそうなことだ。
加えて、決意のセリフの仰々しさったらない。
「来年、皇位の継承、日本で初めて20カ国・地域(G20)首脳会議を開催する。そのさらに先には2020年東京五輪・パラリンピックが開かれる。
まさに日本は大きな歴史の転換点を迎える。今こそ日本の明日を切り開く時だ。平成のその先の時代に向けて、新たな国造りを進めていく先頭に立つ決意だ」
■押し付けの礼賛一色
“歴史の転換点”“日本の明日を切り開く”―。
安倍は年初から何かというと今年が「明治維新150年」であることを持ち出しては、「明治日本のような新たな国造り」と叫んで国民を鼓舞してきた。
政府は内閣官房に「『明治150年』関連施策推進室」を設け、全国で行われる関連イベントをバックアップ中。
そのHPには、<この「明治150年」をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです>と書かれている。
明治維新については、「坂の上の雲」など、国造りという熱い志に燃える明治人のドラマを読んで、感動している日本人が少なくない。
だから安倍政権も、明治維新に学ぶことこそがこの国の未来につながるかのように、押し付けの礼賛一色なのだが、明治維新に対する歴史的評価はさまざまだ。
「近代日本の礎を築いた」という評価がある一方、「テロリストの戦争屋が国を乗っ取った」という見方もある。富国強兵、殖産興業の先に帝国主義があり、結局、明治維新が行き着いた先は、1945年の敗戦だった。
「明治はよかった」「あの改革をもう一度」とただただ称賛し、もったいぶった総裁選出馬の演出に利用する。安倍の時代錯誤と薄っぺらな歴史認識には呆れてしまう。
歴史作家の加来耕三氏がこう言う。
「明治維新については、暴力的なクーデターだったなどの批判もありますが、少なくとも彼らには日本を植民地にせず、独立国として守るという命がけの行動がありました。それに比べて安倍首相はどうでしょう。
今の政権はトランプ大統領に追従するだけの米国の植民地のようになっていますし、モリカケ問題では言い訳ばかり。
そんな安倍首相がただ地元が同じだからといって、自らを維新の長州藩になぞらえるなんて、勘違いも甚だしいと思います」