23/05/24 13:47:52.04 tBzUZDj50.net
>>193
色や明るさについては、アニメならではの複雑な過程を経て決めてるのよ。
順に説明すると
・作品全体のメイン美術ボード作成
美術監督の手でノーマル状態(順光・昼間)の背景画のサンプルを作成し、この時点で背景の色や明るさも含めた雰囲気を決める。
・ノーマル色作成
色彩設計の手によって、ノーマル状態のキャラクターの色(通称ノーマル色)を作成する。
・撮影処理テスト
ノーマル状態で、撮影によって最終的な画面のトーンなどをどうまとめ上げるかのテストを行う
・美設ボード作成
美術監督の手によって、確定したノーマル状態の色を踏まえて、
夕方や夜など、頻出するであろうシーンの背景画の色や、いろんな場所の背景画を着彩して、色味や雰囲気を検討する。
・色背打ち
監督、美術監督、色彩設計、各話数の色指定担当者、演出家などが参加する打ち合わせを実施する。
各話数のシーン内容や演出意図に応じて、どんな色味や明るさにしたいのか、その話数の演出家から説明がある。
これを受けて、具体的にどの美術ボードの色を使用するかや、
場合によってはそのシーン用に新規で美術ボードを作成するなどの対応を決める。
・色替え作成
各シーンごとに、美術ボードの色味や照明条件に合わせて、背景とマッチするように
色彩設計さんの手によってキャラクターの色味などを調整してもらう
・撮影打ち
監督、撮影監督、演出家による打ち合わせで、
演出家から各シーンに対してどういう画面を目指すかの説明がある
これを受けて撮影監督が、美術・色彩両者から最終的に上がってきた素材を組み合わせた上で、
最終的な画面のトーンを作成する
・ラッシュ
撮影済みのムービーデータを監督・演出家が確認する
(ここでもし演出意図と違えば、撮影、あるいは美術や色彩に遡って調整を依頼することもある)
多数の工程で協力し合って最終画面を作っていく必要があるので、
各工程でそれぞれ監督や演出家によるチェックが入って、そこで方向性がズレていないか都度確認しながら進めていく感じだね。
なので実際に手を動かしてるのは色彩設計さんだったり美術監督だったり、撮影監督だったりするけど
方向性を決めて指揮しているのは監督や演出家なのよ。
「暗い部屋で調整」ってのは、この監督や演出家による各工程ごとのチェックを行ってる場所の話だね。
(スタジオごとにぜんぜん雰囲気違うけどね)
最終工程は撮影になるので、そこで画面としては完成。
カラースクリプトはぜんぜん違う役職だね
あれは上記のアニメ的な下から積み上げる制作工程だと、どうしてもシーンごとに色合いをシステマティックに決めていくので
たとえばOPとかMVみたいなタイプの作品で、1カットごとに色合いをぜんぜん変えたい…とかってなると、ものすごく手間がかかる。
なのでいったん、カットごとにカラーサンプル、イメージボードを先に作ってしまって、
それを元に各工程に逆算して目指して貰う…という作り方をすることがあって、
そのサンプルを作るのがカラースクリプトのお仕事かな。
本編を作る上ではデメリットも多い(統一が取れなくなったりする)ので、あくまで短編用の作り方って印象。
どの程度具体的にやるかは作品やクリエイターによって変わってくるけども。