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海外で暮らしていると「普段、コロナ禍で差別を受けたことはありますか?」という質問をよく受ける。その度に「『差別』という言葉の定義にもよりますが、『コロナ』と呼ばれたり、からかわれることは、よくあります」と答えているのが実情だ。
特に、筆者が暮らす中東地域は、アジア(東洋)人はマイノリティーの存在で、かつその容貌は非常に目立ってしまう。通りすがりの知らない人に「コロナ」とボソッと言われたり、露骨に手で口と鼻を覆って逃げられるような行為は、いまだに頻繁にある。
正直、こればかりはいまだに慣れない。体験を語るのはとてもつらいことだが、その事実を広く知っていただくためにも、筆者自身が受けてきた経験をご紹介したいと思う。
● 石が飛んで来て つばを吐きかけられた
当地で、特に「コロナ差別」がひどかったのが2020年2月だった。そのころ、韓国人のキリスト教巡礼客がイスラエル・パレスチナ自治区を訪問して帰国後に新型コロナウイルス感染症を発症したからだ。また、日本では「ダイヤモンド・プリンセス号」の問題があり、当地でも連日それについての報道がなされていたこともあり、「アジア(東洋)人=コロナ患者」というイメージができてしまった。
通りですれ違う人々の筆者へのまなざしも徐々に厳しいものになっていた。
ある週末、所用のため筆者はパレスチナ自治区の首都、ラマッラー市を訪れた。現地の大学で日本語を勉強している友人のモハナド君が同行してくれた。
しかし、その日は明らかに様子がおかしかった。
市内を走るバスに乗ったところ、示し合わせたかのように運転手も含めて皆、一斉に降りてしまい、誰一人いなくなってしまったのだ。
仕方なくバスによる移動をあきらめ、徒歩で街を移動していると「コロナ、コロナ」の大合唱が始まる。突然、肩をつかまれて「今すぐ自分の国へ帰れ」と迫られる。石も3つ4つは飛んできた。
筆者は初めての経験に混乱したが、理由は「自分の容姿」にあることはすぐにわかった。
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