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しかし着陸後、すぐに外へ出られたわけではなかった。機内で彼らは先に触れた検査誓約書とは異なる「別の誓約書」にサインさせられたのだ。それは、
「外務大臣宛てのもので、武漢―羽田の片道航空券代(8万円)を必ず支払う、もし支払いが遅延したら年利5分の利息を支払うという内容のものでした」(先の邦人ビジネスマン)
日本は一体いつから金を払わないと助け出してもらえない国に堕(だ)したのか……。
そんな「残酷な誓約書」に署名した後、チャーター機を降りて羽田空港の到着ロビーに向かうと、そこでも帰国者の疲労を増す騒動が繰り広げられた。206人のうち2人が、その後、新宿メディカルセンターに移動して受ける感染検査を拒否したのだ。
「ともに30代くらいの男性で、そのうちのひとりは政府の職員に向かって大声で怒鳴っていました」(同)
この邦人ビジネスマンの耳をつんざいたのはこんな怒声だった。
「(検査を受けるか否かは)自由意志やろ!」
「帰れるやろが!」
「なんでなん!」
到着ロビーに響き渡った関西弁の「大人の駄々」。
「周りのみんなが失笑していた。私自身も、同じ日本人として恥ずかしいと思いました」(邦人ビジネスマン)
結局、この2人は検査拒否を貫き去っていった……。