17/05/10 22:56:01.06ykCjQDm20.net
丹波元(大阪出身作家)『大阪力』PHP文庫 p60より
徳川幕府は江戸は政治の中心、大坂は経済の中心と位置づけ、
大坂人と町に、現代では信じられぬほどの数々の優遇措置を講じた。
大坂を幕府直轄の天領として、そこに住む人々の租税を免除した。
と同時に特筆すべきは、江戸時代全般に渡る長い期間、大坂商人に株仲間の特権を与えた。
要は様々な商品の流通の中間部である卸業界に、独占権を与えたのだ。
代表的な例が、現代でも半ば独占的に扱われている昆布などがそれだ。
産品ごとに株仲間を作らせ、他所の人間が入り込めないようにし、産地からの買い付けに始まり、
全国の小売業者への卸までほとんどを大坂の商人に委ねたのである。
逆にいえば、多くの商品は一旦大坂という町を通過しない限り、全国の消費者の手にわたらないということになる。
ここまで優遇されると儲からない方がおかしい。金魚すくいを金網でやっているようなものである。
しかも品物ごとに商品相場も立ったから、さらに利益が増える。
もっとも、幕府は株仲間の人数制限を厳しくしたので、ちょっとやそっとのことでは仲間に入れなかった。
当然既得権の死守的思考につながり、談合も生じやすい。
そして造幣局、大阪砲兵工廠、堺紡績所、…
明治政府はこれでもかというほど他の地方よりも大阪を優遇した。
江戸時代だって幕府に奉仕する代わりに租税の免除や株仲間で徹底優遇されていた。
それこそバカでも普通に金儲けできるような
ぬるい環境で大阪という街は育ってきたわけ。