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玉木宏樹『贋作・盗作 音楽夜話』(2010年、北辰堂出版)より
“まだ業界では駆け出しの二十代の後半のころ、
私はNHKの「みんなのうた」のディレクター氏から仕事を依頼され、訪れた一室にはアコーデオンのY氏とディレクター氏が待っていました。
(引用者註:このディレクター氏は玉木氏の別の文章によると「みんなのうた」のプロデューサーの後藤田氏(故人)です)。・・・・
作詞作曲者のわからない民間伝承の歌なんだけど、とてもかわいくて歌いやすい曲がある。
それを是非とも形にして放送したいので協力して欲しいとのことなのです。
アコーデオンのY氏は巷に歌われているいろんな形のメロディを弾き、ディレクター氏も様々な詞を並べたてる。
私はもっぱらアコーデオンのメロディを整理し、一番メロディにのりやすい形の詞を選んで、
後はダークダックス用にアレンジしてバックオーケストラを作る役目をおおせつかったのです。
この作業の結果でき上がり、放送されたのが「森の熊さん」と名付けられた曲。
・・・・・ディレクター氏からは、民間伝承の曲をちゃんと形にしたのは玉木ちゃんなんだから
JASRACに編曲著作権を登録したほうがいいと勧められました。
・・・・一応JASRACに届けを出してみたところ、但し書き付きで受理されました。
その条件とは、もし作詞作曲者が現れたら、編曲権は消滅する、
そしてその時点まで払われた使用料を遡って請求されたらその人に払う、といういささか不本意なものでしたが、私は応じました。
まさかあんな曲(どうみても外国民謡風だということ)に作者が現れるとは思わなかったからなのです。