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佐々木朗希のMLB移籍が「混乱の原因」!? 米記者が“25歳ルール”を疑問視「NPBで400イニング近く投げた投手が16歳と同じ扱い」
去る11月9日にロッテからポスティングシステムでのメジャー移籍を容認された佐々木朗希。NPBを席巻してきた「令和の怪物」の動向は、いまや国際的な関心事となっている。
契約金が最低6億ドル(約924億円)と言われるフアン・ソトをはじめ、メジャーリーグの今オフのFA市場は大物が多い。先発投手だけにクローズアップしてもコービン・バーンズやブレイク・スネル、シェーン・ビーバー、マックス・フリード、菊池雄星など実績十分の実力派が居並んでいる。
まさに粒ぞろいの移籍市場にあって佐々木は異彩を放つ。
23歳でのポスティングを決意した怪腕の契約はマイナー契約に限定。さらに年俸や保証金も年間500万ドル(約7億2500万円)以下に制限される。
特大の評価を受けるポテンシャルとは裏腹に、いわゆる「バーゲン価格」で獲得が可能となるわけだ。
佐々木が制約を受けるのは、MLBの労使協定で決まった独自ルールによる影響だ。戦力の均等化と行き過ぎた青田買いを防ぐことを目論んだ同ルールは、25歳以下の国際選手獲得の際に用いられ、各球団に割り当てられた年間のボーナスプール内で選手と契約する必要がある。
あと2年待てば“青天井”の契約が結べた。
それでも佐々木は「一度しかない野球人生で後悔のないように」と夢を追った。そんな若武者の決断は、奇しくも25歳ルールの見直しを求める声を挙げさせるキッカケともなっている。
米ポッドキャスト番組「Baseball Bar-B-Cast」のホストを務めるコラムニストのジェイク・ミンツ氏は「ササキのMLB入りが、日本をはじめとする国際的なアマチュア市場を混乱に陥れる可能性がある」と指摘した。
以前からメジャー志向が高かった佐々木本人について「彼に全く非はなく、関係はない」とするミンツ氏。だが、NPBで5年のキャリアを築いた佐々木が10代のアマチュア選手と同様の扱いを受ける現状が「混乱の原因になり得る」と断じた。
「ササキの獲得に本腰を入れていない球団は、才能あるアマチュア選手が市場であぶれる可能性を知り、口約束の契約を再び結ぼうとするかもしれない。となれば、アマチュアの移籍市場は必死な椅子取りゲームのような状況にもなり得る。すべての問題は、世界2番目にレベルの高いリーグ(NPB)で通算400イニング近く投げた投手であるササキが、おかしいことにまだ給料を貰ってもいない16歳の子どもと同じカテゴリーで取引されることだ」
佐々木という“大物”の市場参入が及ぼす影響を語るミンツ氏は、25歳ルールについて「脆弱で、問題点が多い」と指摘。そして米球界の関係者のリアルな声を紹介している。
「もうルールは壊れていて、2025年にスターになれるかどうか判断する必要がある選手に時間をかけるよりは、ササキと契約した方がずっといい」
ミンツ氏の言う通り、佐々木に非はない。あくまで彼は現行ルールに則って動いているにすぎない。しかし、小さくない衝撃を呼んだ彼の決断は、日本人選手にも影響してきたルールにメスが入り、変化をしていくキッカケとなるかもしれない。