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1/21(金) 11:00
自分のことを好きになったら引退しよう―「うっせぇわ」が社会現象に、顔出ししないAdoの原動力は「劣等感」
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メジャーデビュー曲「うっせぇわ」が誰もが知る大ヒットとなったAdo。YouTubeでのMV再生回数は2億回を超え、その曲名は2021年の「新語・流行語大賞」トップテンにも選ばれた。素性を明かさず顔出しもしないまま、一気にスターダムへと駆け上がった19歳。彼女は「自分のことを好きになったら引退しようって思っている」と語った。(取材・文:ふくりゅう/画像提供:ユニバーサルミュージック/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
◆高3で歌った「うっせぇわ」に社会人から共感が
(※中略)
◆“歌い手”という「脇役」
メジャーデビューから1年と少し。順調すぎる活動に見える19歳のAdo だが、“歌い手”の活動を始めてから5年の歳月が経過している。
「中学2年生のとき、“歌ってみた”作品を初投稿しました。小学生の頃から私は『アド』という名前で音楽活動したいと考えていたんです。私の名前『Ado』は、狂言の役柄を参考にしたんです。脇役を『アド』、主役を『シテ』と呼ぶんですね」
Adoが“歌い手”としてこれまで歌ってきた曲は、作り手であるボカロPが提供した作品である。ゆえに実体験ではなく、物語を演じる役回り、しかも脇役であることをAdoという名前で言い表していた。素性不明にみえて、実は活動コンセプトのすべてをアーティスト名に込めていたのだ。
学生生活においては、目立つタイプではなかったというAdo。
「小学生の頃は、絵を描くことが好きで、学校でも外に出ないで自由帳に絵ばっかり描いていました。イラストレーターになりたいなって思っていたんですけど、学校に絵がうまい子がいて。その子たちの絵を見ていると、ほんとに上手で……。比べてしまって、わたしの絵ってうまくないんだなって……劣等感を抱いていましたね」
「ボカロ曲は、小学1年生ぐらいから親のパソコンで聴いていました。すごく刺激的で、まず人間が歌っていないっていうところで『何なんですか?』っていう(苦笑)。しかもただ機械が歌っているだけでなく、ちゃんとボーカロイドというキャラクターとして成り立っていて、初音ミクや鏡音リン・レンなどアーティスト性ある魅力がたっぷり詰まっていて大好きでした」
今やAdoの肩書でもあり、人生のターニングポイントとなる“歌い手”の存在を知ったのは、小学校高学年の頃だった。
「ボーカロイドだからこそ出せる高音や音域的に難しいメロディーを、人間である“歌い手”が軽々と魅力的な声で歌っていて驚いたんです。しかも、顔出しせず、どんな人なのかわからないけど歌のみで勝負する。次から次へと知りたい、知りたいって聴きまくりました。何もできない自分だけど、姿を見せず声だけで人を魅了する“歌い手”という活動だったら、もしかしたらできるんじゃないかなって」
(※中略)
◆今も私は私のことが嫌い
Adoの躍進は続き、「うっせぇわ」以降も、矢継ぎ早のリリースとなった「レディメイド」「ギラギラ」「踊」とヒットを連発していく。そして、メジャーデビュー後の集大成となるのがファーストアルバム『狂言』だ。ボカロ文化圏を知る音楽ファンにとっては夢のようなクリエーター勢が一堂に集結した作品で、ファーストアルバムにしてベスト盤のような豪華な内容となっている。
「“歌い手”として活動を始める前から、私はいつかアルバム作品を出したいという夢がありました。ついにかなうということで感慨深いものがあります。大好きなボカロPの方々が演目(楽曲)に物語の魂を込めてくださっていて。しかも、ひとりひとりまったく違う色、景色、世界観を持っていて。私自身、いちリスナーとしていい楽曲ばかり聴けて、ほんとに贅沢なアルバムになったと思っています。私の歌によって、リスナーの方を観客として没入感高く引き込んでいけたらなって」
『狂言』のリリースに続き、かねて夢だったというZepp DiverCity(TOKYO)で初のワンマンライブ『喜劇』を今年4月に開催する。