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【けんご】書評家豊崎由美が本紹介TikTokerをくさし活動休止を決めた件 [ぐれ★] - 暇つぶし2ch226:名無しさん@恐縮です
21/12/13 16:26:02.87 C7n/YgXr0.net
コニー・ウィリスって作家をご存じ? 知らなかったら、かなりのおバカさん。無知蒙昧な文盲さん。SF作家ですの。しかも、凄く位が高いお方ですの。でも、特定ジャンルの中に閉じ込めておくにはあまりに惜しい才能なんですの。たとえば『犬は勘定に入れません』。タイトルから察しがつくとおり、ジェローム・K・ジェロームの傑作コミック・ノベル『ボートの三人男』を彷彿させるヴィクトリア朝小説の枠組の中に、SFはもちろん、本格ミステリーめいたネタも投入。冒険小説でもあり、恋愛小説でもあり、歴史小説でもあり、ラブリィな犬&猫小説でもあり、そしてまた主流小説とジャンル小説のいいとこ取りしたスリップストリーム小説でありと、様々な読みどころを備えた極上小説なんでございます。
舞台は、タイムトラベル技術が確立され、歴史研究のために利用されている二十一世紀のオックスフォード大学。第二次世界大戦中の大空襲で焼失した、コヴェントリー大聖堂の再建計画のために時間遡行(そこう)(降下)を繰り返させられていた史学部の学生ネッドは、ついに過労で倒れてしまいます。このプロジェクトを統括しているのが、猛女レイディ・シュラプネル。とりわけ執心しているのが〈主教の鳥株〉と呼ばれる花瓶なんですが、空襲のどさくさで消失して、その行方は杳(よう)として知れません。
さて、絶対安静を言い渡されたネッドでしたが、レイディと同じ時代にいてはそれも無理。同情したダンワージー教授が、ちょっとした連絡仕事のついでに、のんびりできる十九世紀ヴィクトリア朝時代へと彼を派遣します。ところがネッドは、度重なる降下によるタイムラグ症状のため任務内容もろくに覚えていない状態。とりあえず、知り合いになったオックスフォード大学の学生テレンスと、その相棒のブルドッグ犬・シリル、金魚マニアにして歴史学の権威・ペディック教授と共に、『ボートの三人男』さながらのテムズ河下りに繰り出したのですが―。
消失した主教の鳥株の行方、二十一世紀に十九世紀の“あるもの”を持ち込んだ女子学生ヴェリティと、自分の役目がわからないまま動き回るネッドのせいで狂ってしまった歴史のディテール、それを正常化させようとさらにジタバタ時空を駆けめぐるネッド&ヴェリティ。笑えるわ、痛快だわ、犬と猫が可愛いわ、歴史観・時間哲学が深遠かつ壮大だわ、傑作揃いのコニー・ウィリス作品の中でも、わたくし、一等好きな作品でございますの。たくさんの方に読んでいただきたいの。ていうか、読まなきゃ、あなた一生文盲さんなんですの。


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