21/01/16 21:38:28.15 CAP_USER9.net
略
少女時代には文学少女になり、自殺に憧れ、汚い老婆になる前に、さっさと自分で死んだ方がいいとさえ思い始めていました。
ところが、思わぬ長生きをして、まさか百歳になるなんて……。この年まで生きると、ずいぶん多くの死人の顔を見送っています。私の見た限り、死人は生前より皆さん美しくなっています。死に化粧をした人もしない人も、それぞれ、さっぱりしたやさしい顔になるのは有難(ありがた)いことです。何人か、裸に死に衣装を着せられるところも見たことがありますが、死者の躰(からだ)を醜いと思ったことはありません。生きている心の汚さが、生きている肉体を汚く見せるのだと悟りました。今では漸(ようや)く、自分の死後について悩まなくなりました。私の心の汚さが死体にあらわれても、あきらめます。私はたぶん、今年、死ぬでしょう。百まで生きたと、人々はほめそやすでしょう。
目を閉じた私は、それから、どの星へ移るのでしょうか。その旅は何が運ぶのでしょうか。その途中の経験を書いたエッセイを、この雑誌のこの頁(ページ)に、送れないのが、実に残念ですね。
★抜粋記事
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