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エンタメ 週刊新潮 2020年9月3日号掲載
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今やテレビで見ない日はない白鴎大学の岡田晴恵教授(57)がプロ野球を観戦、と聞けば、驚くムキもあろう。コロナの女王は、“密を避けよ”と警鐘を鳴らしてきたはずではなかったか。そんな疑問を当の彼女にぶつけたところ、返ってきたのは意外な「野球愛」だった。
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8月22日、東京の神宮球場で行われたヤクルト対阪神の公式戦。一塁側の観客席に、男性2人と観戦する岡田教授の姿があった。国内の感染症対策の不備を指摘してきた彼女。球場に足を運んで、リスクはないのだろうか……。
「神宮球場の感染対策は、やれることは厳しく全部やっている。感染リスクはかなり下がる」
とは、岡田教授ご本人だ。
「球場の入口では、一人一人がしっかり検温を受けて、微熱のある人でも帰ってもらう。前後左右を工夫して2人分空けて座らされた客席では、巡回する係が会話や大声を出す人を注意。空席への移動もできない。消毒液も至る所に置いてありました」
そう感心しきりなのだが、なぜ球場に足を運んだのか。
改めて岡田教授に問うと、
「球場へは、白鴎大学関係者と『走れコウタロー』の山本コウタローさんと一緒でした。山本先生は、白鴎大学名誉教授で、去年まで野球部の部長兼顧問でした。定年退職に際して、“野球部を宜しく”と言われたのです。今年8月から正式に顧問となり、このコロナ禍なので野球部の寮の感染対策も担っています」
肝心の試合は、阪神の大山悠輔が3ランで先制して7-5で勝利するが、実は彼は白鴎大の野球部出身。エールを送るべく、今年初めて神宮に足を運んだとか。
“甲子園は大丈夫”
「大山くんが打った瞬間は、思わず“キャッ”って感じでしたが、感染防止で声を出してはダメなので自重しました。いろいろな球団に白鴎大野球部OBがいるので、何処のチームが贔屓かは言えませんが、そもそも高校野球が好き。家では母が厳しくテレビで見せて貰えず、夏休みにラジオでNHKの高校英語を聞くふりをして、甲子園の実況を聞いていました」
今夏の「甲子園中止」が決まった際、ほぼレギュラー出演するテレビ朝日系「モーニングショー」では、コメンテーターの長嶋一茂氏とこんなやり取りがあったと、岡田教授は振り返る。
「一茂さんが“甲子園はできるよね?”と質問を振ってきた時、私は即座に“やれます”と言って。一茂さんは、私にダメって言われるかと思ってたそう。でも、ウイルス学で考えれば、甲子園は野外で、暑いし紫外線が強い。一瞬ならクロスプレーがあるかもしれないけど、基本は密集しないスポーツだから試合自体はOK。とりあえず無観客で」
甲子園中止の影響は大きいとして、こうも言う。
「何も野球好きだからではなく、サイエンスの観点から言っています。野外の甲子園が中止と決めたら、他の屋内競技のインターハイも連動してダメとなってしまう。選手たちにとっては、幼い頃からずっと努力しての人生の晴れ舞台。進路にも影響する。だから部外者ですがあえて申し上げた。それぞれの競技の感染リスクを議論して開催を決めるべき。今は市中感染率が上がってきて、別の判断も必要になっていますが……」
球児らの無念を晴らすためにも、テレビでは建設的な「コロナ対策」を提言して貰いたいところである。
ワイド特集「積み残しの宿題」より