16/01/17 18:30:30.18 CAP_USER*.net
※>>1の続きです。
●守秘義務違反で罰金刑の可能性も
個人のプライバシー侵害に該当することは明らかなため、民事上の不法行為に該当する可能性があるということだ。また、こういった騒動の際によく耳にする「守秘義務」とはなんだろうか。これについても、児玉弁護士に聞いた。
「守秘義務とは、職務上知り得た秘密を正当な理由なく外部に漏示しないことを遵守すべき、法令や契約などに基づく義務をいいます。
この点、法令においては、他者の秘密を取り扱うことが多い一定の業種のみについて守秘義務を課しており、違反については刑罰を規定する場合もあります。例えば、我々弁護士に対しては弁護士法が守秘義務を課していますが、その違反については、刑法上の秘密漏示罪が成立し得ます。
また、そのような行為が不法行為に当たることは間違いないため、法令上の守秘義務違反者に対して、被害を被った人物が民事上の不法行為責任を追及することも可能となります。
これに対し、法令が守秘義務を課す一定の職業に従事する以外の者に対しても、契約により守秘義務を課すことは可能です。もっとも、ある人物に刑罰を科すには法令による定めが必要とされているため、契約上の守秘義務違反に対して刑罰を科すことはできないものと考えられます。
また、契約上の義務違反について、法的には契約の相手方からの責任追及のみが可能となるため、例えば、企業の従業員が使用者である企業との間で守秘義務契約を締結していた場合、被害を受けた人物が守秘義務違反を根拠として直接、当該従業員に責任追及することは難しいものと考えられます。
これに対し、守秘義務契約の相手方からの義務違反の責任追及は可能であり、企業が雇用する従業員との間で守秘義務契約を締結していた場合、その違反に対して、企業から従業員に対する債務不履行責任の追及が可能です。また、守秘義務違反を社内における懲戒事由として定めている場合には、それが不当に過大な懲戒に当たるなどの場合でない限り、懲戒処分を下すことも可能になると考えられます」(同)
今回、騒動の舞台になったのは不動産仲介会社の店舗だ。問題の行為を行った社員に対しては、どういった責任追及が考えられるのだろうか。
「問題の社員は不動産賃貸業務の窓口を担当していたと考えられるため、宅地建物取引業法上の宅地建物取引業者として、同法上の守秘義務を課されている可能性があります。
この場合、本件の開示事実である『ある人物が来店の上、新居を探している事実』や『探している物件の月額賃料』などといった事実は、職務上知り得た『秘密』に当たると考えられるため、問題の行為については、民事上の不法行為責任の追及のみならず、宅建業法上の罰則(83条、50万円以下の罰金刑)の責任追及まで可能になると考えられます。
また、宅建などの有資格者ではない一般の従業員だった場合は、雇用者である企業(団体)との間の守秘義務契約の違反や、団体内部における懲戒というかたちでの責任追及のみが可能になると考えられます」(同)
芸能人ならずとも、自分の行動が見知らぬ相手によって公開されるというのは、あまり気持ちのいいものではないはずだ。犯罪になるか否かといった基準以前に、モラルやマナーの観点から慎むべきだろう。
※以上です。