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2015年11月6日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは「世界野球プレミア12 侍ジャパン応援芸人」である。
侍ジャパンは、言わずと知れた野球の日本代表だ。なぜこの時期に「侍ジャパン応援芸人」かと言えば、
「世界野球WBSCプレミア12」という野球の世界大会が開催中だからであろう。
そして、その試合の多くをテレビ朝日で放映するからだ。そういうことである。これほどわかりやすいタイアップもなかろう。
野球というスポーツは、日本では人気が高い。ところが最近はサッカーなど、
他の球技スポーツも相当に台頭してきて相対的に人気は落ちてきている感は否めない。
野球をバカにする言説もネット上には氾濫している。
「一部の国でしか流行っていないマイナースポーツ」
「オリンピックの競技からも外された」
「WBCもイマイチ盛り上がっていないし、日本の選手でさえ出場を辞退する人がいる」
「サッカーやバスケと比べると点が入るまでの過程が複雑すぎて、初見だと何をやっているかがよく分からない」
「WBCが盛り上がっていないのに世界野球プレミア12が盛り上がるわけがない」
「興行偏重の大会運営・マッチメイクなら一流選手も集まりにくい」
などなどである。
バラエティ番組で「世界野球プレミア12」をテーマに笑いをとるなら、このような言説を用いて世界野球を盛んに
バカにして揶揄しなければならない。
ところが、今回の「アメトーーク」はタイアップ企画なのでそういうことはできない。世界野球を「おもしろい」と
持ち上げなければならない。この時点で、大したことのない出来になることは容易に想像できる。
そして、実際のオンエアもこの想像から一歩も外に出なかった。
芸人たちは世界野球を「おもしろい!」と持ち上げ、出場している国や選手のすごい点を褒めちぎる。
そこには、笑いはない。何かを褒めても笑いは生まれないのである。
ただ、芸人たちは世界野球そのものよりもむしろ侍ジャパンの選手個人個人のすごいところの紹介に力点を置いているように見えた。
「世界野球がおもしろい」という言説が「どっちらけ」でしかないことを芸人やスタッフたちも分かっていたからこそ、
「侍ジャパン応援芸人」という少しズラしたテーマ設定にしたのかもしれない。そうだとすれば、
出演の芸人と制作のスタッフたちが、自らの矜持でささやかな抵抗を見せたということになる。
無論、笑えるところが皆無だったわけではない。主に笑いを生み出していたのは、芸人や個々の
選手のおもしろい言動がバカにされていた時である。
芸人・かみじょうたけしの高校野球マニアっぷりがバカにされたり、マエケンの絵のヘタさがバカにされたり
といった具合である。野球選手も、体育会系の世界に生きる人間なので「イジられる」ことにはかなり寛容である。
そのため、素材としては最高なのだが、芸人たちもかなり控え目だった印象である。
これなら、インターネット上のキツイいじり方の方がおもしろいと言われても仕方がない。