16/07/25 09:09:14.80
◆中日2―5ヤクルト(24日・ナゴヤドーム)
右肩手術から復活したヤクルト・由規が、
11年9月3日の巨人戦(神宮)以来、
1786日ぶりの白星を手にした。復帰2度目の
先発マウンドに上がり、5回1/3を4安打2失点で
今季初勝利。両親がスタンドで見つめる中、
「少し感極まっています」と目に涙を浮かべた。
感謝の思いを抑えることはできなかった。
1786日ぶりの勝利をつかんだ由規は取材中、
ずっと涙をこらえていた。しかし、両親と
対面した時だった。「この5年間、いい思いを
させられなかったけど、やっと勝ったところを見せられた」。
支えてくれた家族の前で、我慢してい
た感情がスッと頬を伝った。
9日の復活登板で敗れた相手にリベンジした。
初回先頭。前回3安打を打たれた大島を
1球で一ゴロに仕留めた。「あれで落ち着いた気がする」。
続く工藤からは、この日最速の146キロ直球で
空振り三振を奪うなど無難に滑り出した。
5回2死一、二塁では、3回にタイムリーを
許したビシエドをスライダーで遊ゴロに仕留めた。
「5年前みたいに力で押す投球はできないけど、
一生懸命投げてチームにいい影響を、と
思って投げました」。98球中、59球が変化球。
当時の日本人最速となる161キロを計測した
10年の頃のような剛速球はないが、ボールを
低めに集める新スタイルで、6回途中4安打2失点でまとめた。
一時は髪を満足に洗えないなど、日常生活に
まで支障をきたしていた右肩痛。転機は昨春の
キャンプだった。同じ右肩手術を経験した
斉藤和巳氏(元ソフトバンク)に声を掛けられた。
「苦しんだ人にしか分からないことがある。
その先の景色は、苦しんだ人にしか味わえない。
俺は見ることができなかったけど、頑張ってほしい」。
リハビリ中、多くの人が応援してくれた。
ペースが上がらず、兄・史規さん(29)に
「『頑張れ』って言われるのがつらい」
とも漏らした。それでも、1軍で勝った時の景色を頭で描き続けた。
昨オフに一度は育成選手となり、
「今年がラストチャンス」と自らを追い込んだ。
ただ、そんなつらい境遇でも新たな夢ができた。
「今の子って、自分が投げている姿を見ている子より、
見ていない子の方が多いと思う。また前みたいに
『こんな選手になりたい』って思ってもらえたらいいな」
次回登板日は未定。25日には一度登録抹消となるが、
「ここからが本当のスタート。言葉ではいくらでも言える。
一つ一つ勝って、みんなに恩返しできれば」。
16年7月24日。由規の第2章が始まった。(中村 晃大)
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