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『ニューズウィーク日本版』 2013/07/30日号
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ただ、素顔の安倍は隣国と敵対するばかりの人物ではない。安倍の「別の顔」を見たければ、地元の山
口県下関市を訪ねるといい。
本州の最西端にある下関市は1905年に釜山と結ぶ関釜連絡船が運航を始めて以来、ずっと朝鮮半島と
日本を結ぶ玄関口の役割を担ってきた。そうした歴史から、下関市には日本でも有数の規模を誇るコリア
タウンが存在する。JR下関駅を出れば、コリアタウンの入り口にそびえる派手な原色の「釜山門」が目に
飛び込んでくる。
下関市は隣の長門市と共に、衆院選の山口県第4区で構成している。安倍はこの山口4区で過去6回、
毎回圧倒的な勝利を収めてきた。そして支持者と支援を受ける政治家として、下関のコリアタウンと密接
な関係を築いてきた。
釜山門の先にある商店街は「リトル釜山」として知られ、多くの韓国系食堂が軒を連ねる。その奥に、ここ
で62年も営業を続ける韓国焼肉店アリランがある。安倍が好んで訪れる店だ。
安倍は地元に帰ると警備担当者や秘書数名を伴って店を訪れ、いつも入り口に近い4人掛けのテーブルに
席を陣取って焼肉とホルモン鍋を食べる。アリランの店内には、笑顔の安倍と妻の昭恵が写った額入りの
写真が飾られている。
女性店主の鄭順礼(85)は「気さくな先生でね、他のお客さんともよく握手してますしね。おとなしくていい
人だから、最近は責められてかわいそうだ」と笑う。安倍と昭恵の写真はかつて安倍の関係者から、記者
に見られたくないから飾らないほうがいいと言われて外した時期もあった。だが今は誇らしげに飾っている。
安倍を応援しているのだから当然だと、鄭は言う。
>>続く