13/01/03 12:56:01.19 OlQx1BJT0
月末になると チノパンは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼女をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても チノパンはニコニコ笑うばかり
僕だけが知っているのだ 彼女はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
ホテル帰りの正月の夜 駐車場の人影に
ブレーキが間にあわなかった 彼女はその日とても疲れてた
人殺し あんたを許さないと 彼女をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼女はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった
それから彼女は人が変わった 何もかも
忘れて 働いて 働いて
償いきれるはずもないが せめてもと
毎月あの人に仕送りをしている
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