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15 - 衆 - 水産・法務委員会連合審… - 1号
昭和28年02月21日
○甲斐中委員
時間もございませんので、ごく要点だけを申し上げまして政府当局に要望したいと思います。私はこの拿捕事件が
起りましてから、朝鮮近海方面に出漁する漁民の住んでおる漁村をまわりまして、いろいろな希望を聞きましたが、
そのうち一番共通した希望は何であるかといえば、日本の外務省は軟弱であるから、この問題をとうてい解決する
能力がない。また日本の海上保安庁も、われわれを保護する十分の能力は持つておらない。だから日本の政府はも
うたよらない。この上は機関銃を一丁ずつ貸してくれ、こういうことを要望されたのであります。私はこの切実な
漁民の要望をかみしめていろいろと考えてみまするが、外務省当局の軟弱外交ということについてはいろいろな角
度から論議されますけれども、私自身は日本の外務省が軟弱だから解決ができないとは考えておらない。こういう
国民発な屈辱事件が起る根本原因は、日本に海軍がないというところにある。私はかかる強力な海軍があつたなら
ば、朝鮮はあんなことをやらない。ないからやるのだ、私はそういうふうに考えます。しかしながら今ただちに再
軍備をしたり、憲法を改正したりすることは、この内閣では、現段階においてはやらないということであるから、
当分やらない。いつかはやるであろうけれども、今のところはやらない。そのやらない今日、これをどうしてうま
く解決するかということが、問題の一番重要な点であると思います。私はそういう見地から考えまして、この朝鮮
政府並びに朝鮮の海軍のやつておる行動を、単なる世界の独立国の政府がやつておることだとは思われないのであ
ります。独立国でありまするならば、国際公法を守らなければならぬ義務があります。その国際公法を無視いたし
まして、日本海のまん中に李承晩ラインというようなかつてないラインを自分だけでこさえておる。日本の領土で
あるところの島根県の竹島もそのラインの中に包含して、その中に入つて来る日本の善良なる漁船を拿捕する、略
奪する、殺戮をするというようなことをやつておるのであるからして、これは政府のやることではない、海賊のや
ることである。その海賊と政府と取違えて、上品な外交交渉をいくらやつておつても解決をする見込みはないと私
は思います。ですからこれを解決する方法は、日本の現段階においては、海上保安庁の実力を最大限に発揮すると
ともに、現場におるところの漁民も命を的に自分を守る。これ以外に方法はないと思います。どろぼうが横行する
ときは、正当防衛のためにヒ首や。ヒストルを持つことも手続をとれば許されるところである。であるとすれば、
日本近海に海賊が横行しておる現段階において海上保安庁といたしましては、全力をあげて、命を的に漁民を保護
すればよい。
続く