15/11/21 01:40:10.44 *.net
プレミア12 準々決勝の観戦に、台湾に行ってきた。日本を発って戻って来るまで24時間を切るなかで
昼夜で2試合を観戦するという、われながら酔狂な旅だった。
観戦したのは準々決勝の2試合で、昼はアメリカ対オランダ、夜は日本対プエルトリコ。
いずれも桃園国際空港に近い桃園棒球場での開催だった。
家族は「そんなことまでしなくても、数日後には東京ドームで見れるじゃないの」と呆れ顔だったが、
そういうものではないことはご理解いただけると思う。
ちょっと困ったのが、当日未明まで開催場所と時間が決まらないことだった。それらは、
準々決勝にどの国が勝ち進んでくるかを見極めてから決定されるからだ。台湾での観戦時にいつも
チケットの手配をお願いしている現地の代理店F氏曰く、「A、B各プールからの出場国が決まる
15日の試合後の夜10時半に、カードと開催場所、時間が発表され、深夜0時までネットで販売されるようです」
とのこと。「わかりました、その時間に連絡を取り合いましょう」
ところが、日本対ベネズエラ戦など白熱した15日のゲームが終わっても、主催のWBSCのホームページを
見る限り、いつまで経っても各カードの場所と時間の発表がなく、チケット販売が始まらない。
これは後で知ったのだが、15日の試合後、台北市内の天母棒球場で火災が発生したことも影響を与えたようだ。
午前2時まで待った時点でF氏から「もう諦めましょう」の連絡。
まあ、準々決勝と言っても平日で、これまでの観客の入りをテレビで確認する限り、少なくとも当日球場で
チケットが買えないとは思えない。まあ、いいか。午前3時、自宅を出ようと思ったら電話が鳴った。
「チケット、取れました」。彼の熱意と責任感には感服しかない。
自宅から1時間歩いてバスターミナルへ。午前4時発の羽田空港行きバスに乗った。台湾までは、5時50分発のLCC便だ。
午前9時前に桃園国際空港着。やはり暖かい。半袖シャツ1枚で十分だ。
この日1試合目のアメリカ対オランダ戦開始の約30分前の正午に、会場の桃園棒球場入りした。
最も高い2000台湾ドルの席はネット裏最前列だ。しかし、観客はぼくの入場時は限りなく皆無に近い。
正直なところ、どこでもお好みの席で観戦できる状態だ。
しかし、ほぼ無観客試合の恩恵もあった。知人がぼくを見つけ、声を掛けてくれたのだ。
世界中の球場を訪ね歩いている彼には、2013年のWBC準決勝の夜、サンフランシスコで知り合った。
彼とは日本では会ったことがない。「妙な関係ですね」とお互い苦笑した。
試合はそれなりに熱戦だった。オランダには、元楽天のアンドルー・ジョーンズとヤクルトの
ウラディミール・バレンティンがいる。しかし、全体のレベルは高くなく、この試合ではバントで揺さぶられると
悪送球の連発があるなど、チームとしてのファンダメンタルの弱さを露呈した。
対戦相手のアメリカも、メジャーリーガー抜きであるだけでなくプロスペクトと呼べる人材も少ない物足りない
編成だ。準々決勝でありながら、両軍の選手層は薄く、開催地のファンも自国（と日本）以外の試合に
関心を示そうとしない。このあたりはWBCでの日本ラウンドも同様なのだけれど、フットボール系と比較した
場合のベースボールの世界大会の課題だ。日本では五郎丸ブームに沸いたラグビーのワールドカップでも、
英国のファンは他国同士の試合にもスタジアムに駆けつけ声援を送っていたのは記憶に新しい。
ところが、夜になると球場の様相は一変する。侍ジャパンが出場するからだ。この日のこの時間に
侍ジャパンが登場すると決まったのはほんの20時間前のことなので、観客はあまり多くない。
公式発表は8000人だ。しかし、報道陣の数はかなりのもので、いやがうえにも雰囲気は盛り上がる。
少なくとも、日本なくしてはこのプレミア12はビジネスとして成立しなかっただろう。
この日の結果はご存知の通りだ。侍ジャパンが9対3でプエルトリコを圧倒。5勝0敗で、東京ドームでの準決勝進出を決めた。
はっきり言って、今回出場の全チームの中で日本の実力は抜きんでている。2013年のWBC出場チームより、
戦力的は上ではないか。柳田悠岐や藤浪晋太郎が故障で不参加だが、現在のNPBで望みうるベストな
編成に限りなく近い。また、大会に向けてのモチベーションの高さも全出場国中ナンバーワンだろう。