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二〇〇三年放送の「冬のソナタ」で韓流ブームに火を付けたNHKの韓国ドラマ放送がこの夏、ひっそりと姿を消した。
地上波からは民放キー局も相次いで撤退しており、残るは平日午前中のテレビ東京だけで、一世を風靡(ふうび)した面影はどこにもない。背景には日韓関係の悪化があるほか、
魅力的なコンテンツが不足しているとも指摘される。多くの視聴者が心をときめかせた韓国ドラマはこのまま衰退してしまうのか。 (砂上麻子)
NHKBSプレミアムで放送された「奇皇后~ふたつの愛 涙の誓い」が八月に終了し、十二年続いた韓国ドラマの流れが途絶えた。
NHKは新たな放送予定について「現時点ではない」(広報部)としている。
「冬のソナタ」は〇三年にBSで放送された後、翌年には地上波で再放送され、年配女性を中心に人気を集めた。
その後、民放各局も韓国ドラマ枠を設け追随した。韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨(まさゆき)さん(41)は「冬ソナがNHKで放送されなかったら韓国ドラマはここまでブームにならなかった」と指摘する。
その上でNHKの放送終了について、古家氏はコンテンツ不足を挙げる。二〇〇〇年代初めまでの韓国ドラマには「記憶喪失」や
「初恋」「出生の秘密」が決まって登場するなど、ありきたりだが、日本人には懐かしい筋書きでもあった。
ところが〇五年以降、日本や中国で韓流ブームが起きると、海外を意識したストーリーやスターを起用した作品が増加。
「冬ソナのような古き良きドラマが好きな日本人ファンは物足りなさを感じた」と古家さんは説明する。
また「冬ソナ」のペ・ヨンジュンさんらに続く、新たなスター不在を指摘する声もある。
ペさんら「韓流四天王」と呼ばれた俳優たちは映画に進出し、ドラマの主演は若い俳優やアイドルに世代交代した。
韓国ドラマに詳しいライターの都与野(とよの)かおるさんは「韓国では若い俳優が人気だが、ファンの年齢層が高い日本人には響かない」。
さらに、人気の衰退に拍車をかけたのは嫌韓ムードだ。
一一年にはフジテレビの番組編成が「韓流に偏重している」として抗議デモが起こり、東京・新大久保のコリアンタウンでは、韓国人へのヘイトスピーチが盛んに行われた。
一二年八月に韓国の李明博大統領(当時)が竹島(韓国名・独島)に上陸すると嫌韓ムードが一気に拡大した。
その後、フジは同月、TBSは一四年三月にそれぞれ韓国ドラマの放送を終了。
ある民放関係者は「地上波で肝心なのはスポンサーがつくかどうかだ。スポンサー企業に『何で韓国ドラマに金を出すんだ』とクレームが相次いだとも聞いた」。
二十年近く韓国ドラマを見続け、韓国ドラマに関する著作も多いライターの安部裕子さんは「地上波で不特定多数が気軽に見られる機会は貴重」と話し、韓国ドラマの新規ファンが開拓されなくなると危ぶむ。
一方、地上波での放送は減ったが、BSとCSでは現在も月二百本以上の韓国ドラマが放送され、放送終了後のDVD販売も好調という。
韓国コンテンツ振興院(ソウル)の調べによると、韓国から日本への放送番組の輸出額は日本で「冬ソナ」の放送が始まった〇三年は六百万ドル余だったが、一三年には約二十倍に増えている。
古家さんは「韓国ドラマは約十年かけて文化として定着した。
ドラマの力は政治より大きい。新規のファンは難しいかもしれないが、これまでのファンは離れないでしょう」と語る。
>>続きます
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