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米国のサッカーリーグ、メジャーリーグ・サッカー（MLS）躍進の秘密をキーパーソンのインタビューでひもとく本連載。
今回登場するのは、リーグの強豪、ニューヨーク・レッドブルズを率いるマーク・グランドプレ・ゼネラルマネジャーだ。
リーグに参加した経緯、専用スタジアムの重要性、熱狂的なヒスパニックの存在などクラブを取り巻く現状について熱く語った。
まず、レッドブルがMLSに参加した経緯を聞かせてほしい。
マーク・グランドプレ（以下、マーク）：MLSに参加したのは2006年のことだ。
サッカーは世界中の消費者にリーチできる数少ないスポーツの一つ。
また、我々のオーナー（レッドブルの創業者、ディートリッヒ・マテシッツ氏）はオーストリアのザルツブルクで
既にサッカークラブに投資しており、サッカーに情熱を持っている。
北米における成長の次のフロンティアとしてMLSに注目したんだ。
我々のミッションは強いチームを作ることもさることながら、本拠地であるニューヨークやニュージャージーで
サッカーコミュニティを作り、発展させることだ。
現在、我々は100万人以上の熱狂的なファンを抱えるまでになった。今のところうまくいっているといっていいだろう。
140の地元地域でサッカー教室を開催
具体的にどのようなことをしているのか？
マーク：実際のところ、かなり草の根的だよ。
例えば、イベントへのパフォーマーの派遣がある。
我々はサッカーボールを使った曲芸チームを持っており、地元のイベントなどでパフォーマンスを披露している。
また週一回、ニューヨーク近郊のコミュニティーで開催しているサッカー教室も重要な取り組みだ。
地元のサッカークラブや町と連携してコーチを送り込むんだ。我々がこういった活動をしている地域は140に上る。
我々のサッカー教室に参加した子供はこれまでに4万人近い。とんでもない成長だよ。
こういった投資が、ニューヨークやニュージャージーなどメトロエリアのスポーツの発展を支えている。
チケットセールスについてはどうか？
マーク：チケットセールスが24人、カスタマー・リレーションを担当している人間が8人いる。
カスタマー・リレーションはシーズンチケットを持っているファンとの関係性を維持するためにとても重要だ。
ここをちゃんとフォローするかどうかで、次の年に更新してもらえるかどうかが決まる。
まだ十分ではないと考えているので、何人か加えようと思っている。
ファン目線で考え抜かれたスタジアム
本拠地のレッドブル・アリーナはサッカー専用スタジアムとして高い評価を得ている。
マーク：2006年にリーグに参加した時、我々はジャイアンツ・スタジアムでプレーしていた。
NFLのニューヨーク・ジャイアンツやニューヨーク・ジェッツが本拠地としていたスタジアムだ（2010年に閉場）。
スタジアム自体は素晴らしいものだったが、8万人の収容能力を誇る巨大なスタジアムで、
サッカーにおいては視覚的に優れているとは言えなかった。
だが、2010年に今のスタジアムができたことで、ファンに素晴らしい観戦体験を与えることができるようになった。
我々のスタジアムはすべてがファン目線で考え抜かれている。
どの席に座っても、ピッチをよく見通すことができるし、スタジアム内の反響も工夫しているので観客が興奮して
歓声が上がった時に唯一無二の雰囲気をつくり出す。
マンハッタンへのアクセス、観客席に屋根が付いていることもポイントだね。眺望、サウンド、雰囲気…。
このスタジアムはすべてがグレートだ。
スケジュール管理を含め、自分たちですべてをコントロールできるという面を考えても、自前のスタジアムを持つことは重要だ。
自分たちが望む日に試合を開催できるうえに、ラグビーやラクロス、コンサートなど試合が開催されていない日の有効活用も柔軟にできる。
まだうまく有効活用できているとは言えないが、こういったことを考えられるのも自前のスタジアムだからだ。