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「私たちの学校には、サッカー選手が練習と授業を両立できるように時間割りを調整する育成コーディネーターがいる」
トーマス・バウアー(ゲザムトシューレ・ベルガー・フェルトの用務員)
育成が優れているのは高校の部活か、それともユースか。日本サッカー界において、常に投げかけられる問いだ。
この問いにおそらく正解はない。子供の性格や成熟度に応じて、最適な環境は変わってくるだろう。そこにいる指導者に依存するところも大きい。
ただし、議論が乱暴になることを承知で、あえて育成に成功しているドイツサッカー界を参考にするならこう分析できる。
ドイツにおけるユースの環境は、日本の部活に近い―。
ドイツでは、クラブの下部組織と高校が手を組み、まるで日本の高校における部活のような環境が用意されているのだ。
W杯優勝メンバーに4人の卒業生がいた高校。
その代表格が、シャルケのスタジアムのすぐ隣りにある「ゲザムトシューレ・ベルガー・フェルト」である。
ドイツが2014年ブラジルW杯で優勝したとき、そのメンバーに同校の卒業生が4人も名を連ねていた。
ノイアー(バイエルン)、ヘベデス(シャルケ)、エジル(アーセナル)、ドラクスラー(ヴォルフスブルク)の4人だ。
他にも同校出身のカメルーン代表のマティップ、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のコラシナツ(ともにシャルケ)がブラジルW杯に出場。
同じくシャルケに所属するドイツU-21代表のマックス・マイアーや、ポーランド代表のボエニシュ(レバークーゼン)も卒業生だ。
ここであげた全員が「ベルガー・フェルト」に通いながらシャルケの下部組織でプレーし、のちにプロの階段を駆け上がって行った。
同校はいわば世界最強の「育成校」である。
その秘密はどこにあるのか?
練習と授業を両立させる「育成コーディネーター」
筆者は2011年、エジルのルーツを探るNumber本誌の取材で同校を訪れたことがある。
転機となったのは2000年、ドイツサッカー協会が育成改革を実施し、ドイツ中のクラブに近隣の学校と協力するように訴えたことだ。
同校は元々シャルケと提携していたが、改革を機に、さらに連携を強めていく。
たとえばサッカー選手を目指す子供たちは、週に3回、午前中の授業が2コマ免除され、
その時間にサッカーの練習をするようになった。
教えるのはシャルケの下部組織の監督やコーチたち。
他にも授業で、体幹トレーニングの基礎知識やスポーツ生理学が教えられる。
そして同校の最大の特徴は、「育成コーディネーター」が常駐していることだ。用務員のトーマス・バウアーがこう説明してくれた。
「私たちの学校には、サッカー選手が練習と授業を両立できるように時間割りを調整する育成コーディネーターがいる。
彼らはドイツサッカー協会の免許を持つ育成の専門家で、遠征で授業が受けられないときは、補習の手配もする。
サッカーと学業、両方に集中するために、彼らの存在が欠かせないんだ」
学業とサッカーを両立させるために、先生と指導者が協力し、生徒にとって最適のプログラムを考える―。
まさに日本の高校の部活で行われていることではないだろうか。
さながら部活の顧問が、育成コーディネーターといった感じだろうか。
学校の認定制度は、2006年に始まった。
ドイツはこういう成功例をさらに発展させるために、2006年、
ドイツサッカー協会のスポーツディレクターに就任したマティアス・ザマーの呼びかけにより、
「フットボール・エリートシューレ制度」を開始した。
これは、クラブと組んで育成に力を入れている学校を、ドイツサッカー協会が
「フットボール・エリートシューレ」に認定する制度だ。認定されると、資金的な援助を受けられる。
「ベルガー・フェルト」は2007年に認定を受けた。
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