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【デスク発ウラ話】
「スター軍団」??球団やクラブがカネにモノを言わせて大物選手をかき集めた“金満“のイメージが漂うが、嫌いなフレーズではない。
2005年以降のJリーグ・浦和もまさに「スター軍団」だった。
とにかく、どこを見ても実力者揃い。田中マルクス闘莉王、三都主アレサンドロ、長谷部誠、鈴木啓太、坪井慶介、都築龍太、山田暢久、永井雄一郎、田中達也、岡野雅行。
ここに小野伸二、高原直泰、阿部勇樹、さらにルーキーで細貝萌も加わった。外国人選手もワシントンにポンテ、その前にはエジムンドもいた。
日本人はほぼ現役の日本代表かその経験者。外国人もワールドクラス。監督もドイツ代表でW杯制覇を果たしたブッフバルト。誰の話を聞いても面白い。
しかし、取り止めがない。記者としては話題を絞るのが難しく、うれしい悲鳴の毎日だった。
これだけの面々が揃うと、時に予期せぬ一面を見てしまうことがある。そのなかで一番驚かされたのが長谷部だ。
甘いマスクで女性ファンが多く、さわやかな立ち居振る舞いで「優等生」というキャラ。
番記者たちも「プリンス」と呼んでからかい、そのたびに長谷部は「ホント、プリンスはやめてくださいよ?」と苦笑いしていた。
だが、たった1試合でそのイメージは覆された。06年10月28日のアウェー・磐田戦。前半に先制を許し、選手たちのストレスはスタンドから見ていてもハッキリ分かった。
その中で迎えた後半に事件が起こった。
磐田MFファブリシオが長谷部に危険なタックルを仕掛けて警告。やられた長谷部は痛みも忘れ、ファブリシオに食って掛かろうとしていた。
周囲の選手が間に入ったことでその場は何とか収まったが、怒りが冷めない長谷部は2?3で負けた試合終了後、事もあろうに磐田のロッカー室に乱入しようとし、関係者に止められた。
興奮状態の長谷部は、とてもここでは書けないような汚い言葉を連発。プリンスの面影はまったくなかった。
ファブリシオのファウルが長谷部の選手生命を脅かしかねない悪質なものだったのは確か。
だが長谷部を制止したクラブスタッフは「ハセがあれほどキレたのは見たことない」と驚くばかり。
目の当たりにした番記者たちも“引いて“しまうほどだった。
後日、落ち着いたところで長谷部に聞いた。
「ハセってあんな一面もあったんだ」
すると笑ってこう返してきた。
「だから言ったじゃないですか、僕はプリンスでも何でもないって。結構、瞬間湯沸し器ですよ。闘争心って言えばカッコいいけど、実際はもっと汚いです」
長谷部が10年南アW杯直前に日本代表の主将に任命されたときもかなり悩んでいた。
「だって、キャプテンが周りのことも考えずにキレちゃって退場、なんてことになったらみんなに迷惑かけるじゃないですか」
キャプテンシーがとか、プレーのレベルが、という理由ではない。昔を知る者としては納得させられるというか、妙にホッとさせられる言葉だった。
ブラジルW杯まで立派にキャプテンを務め上げた長谷部は、サッカーに詳しくない人にも「しっかり者」とか「好青年」として認知された。
でもそんな感じで“心を整える“長谷部もいいけど、ふとした瞬間に暴走モードのスイッチが入ってしまう「意外性」も魅力の一つ。
こんなギャップを見ることができるのも「スター軍団」の醍醐味なのかもしれない。
10月27日(月)14時38分配信
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