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「行動経済学」から見る日本プロ野球
行動経済学とは経済学の中の一つの分野で、実験などを通じて
消費者の具体的な行動や購買心理を分析していくものだ。
日本でもここ数年、「商売の手法」として、実際の商業の場でも
取り入れられつつある学問である。そして、この「行動経済学」によって
顕著に支配されているのが「日本プロ野球」業界ではないだろうか。
「野球離れ」が叫ばれて久しい。実際に野球に興味を持つ人の数は
激減している。一般市民の「共通の話題」にも上らないし、象徴とされる
指導者、選手たちは現場を離れ、有能な選手は渡米してプレーしている。
まさに日本プロ野球界は「空洞化」が進んでいる。それでも、運営は
続けなければならない。そこには、最近のビジネスにおける重要スキームである
「行動経済学」の要素がふんだんに盛り込まれ、観客を狙っているのである。
その最たる例が「限定版ユニフォーム」「復刻版ユニフォーム」ではなかろうか。
「復刻」「プレミアム」という限定価値をつけ、「この機会を逃すと二度と
買うことができない」という購買意欲を煽る。球場に来た観客に「買わせる」ために
作られた企画だろう。福岡のある放送関係者は、「観客動員が目に見えて減ってきた。
それでも、『フラッシュ』(手首に巻くフラッシュライト)というグッズを売りたいという目的で、
ホームチーム敗戦後でも、ガラガラのドームでDJがせつない掛け声をしている」
と現状を嘆いている。
さらには、通年記録の価値を薄める「プレーオフ制度」の導入など、
伝統の切り売りばかりだ。球場内を見ても、キャッチャーの後方には
スポンサー広告の山、5回終了後にはチアリーダーのダンスなど、
以前は、「真剣勝負の場所」とされたはずの球場が、
「野球ファン」に、お金を落とさせる場所として機能し始めた。
筆者にも「ドームの無料観戦チケット」が関係者筋でかなり頻繁に回ってくる。
無料なので、観戦だけでは収益は上がらないが、無料で入場されても、
グッズや食べ物は、かなり金額が高めに設定されているので、
それらを買わせることで利益を狙える。球場がガラガラになってしまうと
「野球は人気が無くなった」と観客の気持ちも冷めてしまいかねない。
また、その冷めた様子を見た第三者の気持ちまで萎えてしまう可能性もある。
それら負の連鎖を防ぐために、チケットをタダで配ってでもお客で埋めておく必要があるのだ。
日本のプロ野球の「行動経済学」的戦略なのである。【杉本尚丈】
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