14/08/10 16:42:35.34 0
プロ野球のテレビ中継(地上波)が「虫の息」という寂しい状況の中で、NHK・BSの大リーグ中継はライブを基本に、
本場のベースボールを試合終了まで堪能できる点でファンの評価は高い。
ヤンキースのエース、田中将大の長期離脱は残念だが、その穴を埋めるようにカブスの和田毅が後半戦早々、
メジャー初勝利を挙げるなど話題に尽きない。長年、大リーグ中継を放送してきたNHKの実況アナは、
150年に及ぶメジャーの歴史や文化に精通していることは肝心なことだが、それ以上に公共放送の担い手として
「言葉の重み」を感じ、大リーグファンのすそ野拡大に努めてほしいものだ。
■あるベテランアナの“勇み足”
今月3日、レッドソックスの本拠地・フェンウェイパーク(ボストン)でのヤンキース戦。この日の実況は、相撲中継などでお馴染みの50代のベテランが担当。
8回のインターバルに流れる球場名物、ニール・ダイヤモンドの「スイート・キャロライン」が、実はキャロライン・ケネディ駐日米国大使のことを歌ったという
エピソードをさりげなく紹介するなど知性と教養にあふれ、共感と親しみが持てた。
ところが、今後の大リーグ中継の日程を紹介しているときに“脱線”した。引き続き和田が先発登板する試合を中継し、翌日にはダルビッシュ(レンジャース)の
先発予定試合が控えていることを紹介した後、一瞬、耳を疑うような発言をした。
「(大リーグの試合を)放送するほうも大変なんですが…」
10年前に比べれば、日本人メジャーリーガーは確実に増え、彼らの動向を逐一、伝えてきたNHKにすれば、大変な時間と労力がかかっていることだろう。
しかし、半ば冗談とはいえ、自分たちの仕事を「大変」と言ってしまえば身もフタもない。そもそも、莫大な放映権料を支えているのは視聴者からの受信料であることを忘れてほしくない。
この日、解説を担当していた大島康徳氏(元日本ハム監督)から向けられた質問でもないのに、自ら「楽屋裏」を披露する意味はどこにあったのか。
■MLB好きはいないのか
この日の大リーグ中継には伏線があった。このアナがかつて、別の取材で米国を訪れた際の「私事」をトークしていたとき、フリーの1日ができ「何もすることがなかったので、
ヤンキース戦の観戦に行った」などと口走ったのである。これでは仲間内の会話と変わらない。言葉遣いがぞんざいで、だいたい大リーグファンに失礼である。
一連の言動で分かったことは、大リーグに対する「愛情の欠如」である。この日、試合時間が3時間を超えると、「非常に長い試合になってきました」といかにも不機嫌そうだった。
確かに長い試合には違いなかったが、決して間延びするようなゲーム内容ではなかった。いつもは辛口評で有名な大島氏も、この日ばかりは聞き役に回ることが多かった。
■実況は言葉こそ生命線
野球人気の低迷が言われて久しい。しかし、伝える側に愛情がなければ、視聴者の野球熱も冷めてしまうだろう。ふと、思った。NHK局内にも根っからの野球好きが
少なくなっているのではないか、と。
2004年アテネ五輪で男子団体が28年ぶりに金メダルを獲得したときに、NHKの刈屋富士雄アナ(当時)が叫んだ「栄光への架け橋だ!」は、
名実況として今に語り継がれている。なぜ、視聴者の心を打ったのか。ひと言で言うなら、多くの日本人の心を代弁してくれていたからだ。
刈屋氏自身、「体操ニッポン」復活へ、祈るような思いで見つめていたに違いない。
年間160試合もある大リーグの実況に毎度、スポーツの感動を込めるのは難しい注文であろう。しかし、日本のプロ野球にはない知られざる
大リーグの魅力を伝えようとする気概だけは失ってほしくない。
十数年前のこと。NHKの敏腕記者が書いたノンフィクションがある賞を受賞したときに、選考委員の作家が講評で語った言葉を鮮明に記憶している。
「優秀な人材はNHKにいる」-。
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)