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(前略)
ジョリーは、オーロラ姫役のエル・ファニングとともに来日し、6月23日のジャパンプレミアと
翌日の記者会見に臨んだ。
笑顔で親日家ぶりを見せたジョリーだったが、一方でインターネット上などで彼女は反日家
だとする批判が多く見受けられた。
来日を報じたテレビ番組に対しては「『親日家』『日本好き』と盛んにヤラセで演出。フザケるな」等々。
なぜジョリーに「反日」のレッテルが貼られたのか。
その原因は、米国で12月に公開される彼女の監督第2作「アンブロークン(原題)」にある。
実在した競走馬を描いた映画「シービスケット」(2003年)の原作者でもある作家、
ローラ・ヒレンブランドのベストセラー小説の映画化。
第二次世界大戦中、元オリンピック選手の米軍パイロット、ルイス・ザンベリーニが
飛行機の墜落で太平洋を漂流し、旧日本軍の捕虜になる。収容所ではワタナベというサディ
スティックな伍長が捕虜を虐待していて、ルイスは彼から執拗(しつよう)に痛めつけられる。
ルイスは実在の人物で、98年の長野冬季五輪の聖火ランナーも務めた。
くしくも今月2日に肺炎のため亡くなった。
97歳だった。問題なのは、原作に事実とは受け取りがたい描写があること。
例えば捕虜の扱いについて「eaten alive in ritual acts of cannibalism」とある。
訳すと「人肉食いの風習で生きたまま食べられた」。
これを、そのまま映像化されてはたまったものではない。米国では2月のソチ五輪の全米放映時
に予告編が流され、日本でも動画投稿サイトで視聴可能だが、それを見る限りルイスが過酷
な試練を乗り越える感動巨編という印象で、人肉場面はなかったが虐待シーンは確認できた。
旧日本軍の軍人をしっかり非人道的に描いているようだ。
ジョリーが「アンブロークン」に目をつけたのは、彼女が人権活動家という肩書も持つからだろう。
初監督作「最愛の大地」(2011年)はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が舞台で、
収容所で性的迫害を受けるボスニア人女性とセルビア人男性とのラブストーリーだった。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の特使を務め、女性の権利擁護活動が認められて
英政府から男性の「ナイト」に相当する「デイム」の称号も与えられた。
世界の紛争地帯で起こる性暴力の撲滅を目指すグローバル・サミットが今年6月にロンドンで
初開催され、ヘイグ英外相と共同議長も務めた。
UNHCRの特使として難民キャンプに足を運び、カンボジア、エチオピア、ベトナムの孤児3人を
養子にしているが、彼女がアジア諸国に関してどれほど精通しているのか疑わしい面もある。
6月に「マレフィセント」の宣伝で訪れた上海で、好きな中国人監督は、と記者に聞かれ
「(台湾出身の)アン・リー」と答えたことが波紋を呼んだのも、記憶に新しい。
日本のツイッターには「アンブロークン」に関して「真実を見極める力って必要だよ。
有名人で言論を発信する立場ならなおさらね」という意見もあった。
「アンブロークン」の日本公開は未定だが、もし決まったら今回のようにまた笑顔を振りまいて
来日するのだろうか。(WEB編集チーム
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
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