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前回の「スポーツのお値段」では、W杯の開催国ブラジルと国際サッカー連盟(FIFA)の損得を考えてみましたが、今回は日本代表を取り巻くお金について見ていきたいと思います。
W杯に出場し、勝利を重ねることは、日本サッカー協会(JFA)にどれだけの直接的な経済メリットをもたらすのでしょうか?
各国のサッカー統括団体が、W杯出場によって得られる(FIFAから支払われる)お金には3種類あります。
1つ目が、出場するだけでもらうことのできる「準備金」で各国150万ドル(1億5000万円、1ドル=100円で計算)。
2つ目が「移動・宿泊経費」で、各国135万ドル(1億3500万円)。
そして3つ目が「賞金(Prize Money)」です。詳細は別表の通りですが、仮に1勝もできなかったとしても800万ドル(8億円)は保障されることになっています。
勝てば勝つほど賞金は確かに増えるが……。
以上のことから、日本サッカー協会は、代表チームがW杯出場を決めた時点で、「準備金」「移動・宿泊経費」「賞金(最低額)」を足した10億円以上の収入を確保できたことになるのです。
あとは、グループリーグを突破し(賞金が1億円アップの9億円に)、ベスト8に入り(さらに5億円アップの14億円に)、その都度加算されていく賞金をものにすることで追加の収入が大きく増えていくことになります。
日本代表が過去最高の成績を目指す戦いは、お金の面からしても、実に重い意味を持っていると言えそうです。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか? 私は今回の分析を進めていくうちに、次のような疑問を抱くようになりました。
「W杯で勝ち進むことよりも、W杯に出ることのインパクトの方が大きいのではないか?」と。
デンマークのケースから日本の状況を考えてみる。
この問いに答えを出すうえで、参考になりそうなのがデンマークのケースです。
デンマーク代表はブラジルW杯出場を逃しました。地理的な違いはあるものの、FIFAランクは現在23位、過去4回出場したW杯でもベスト8が1回、
ベスト16が2回、前回大会では日本に敗れてグループリーグ敗退と、日本と実力的に拮抗したチームだと言って差し支えないでしょう。
デンマークの英字紙『The Copenhagen Post』が、イングランドで行なわれた調査結果(英国小売協会による)と比較する形で、W杯出場を逃したデンマークの経済的な影響を算出しています。
同記事によると、イングランド代表がW杯の予選で敗退した場合のイギリスの経済損失額は推定3400~6000億円ほどで、
人口比で約10分の1であるデンマークでは、ざっと300~600億円の損失につながったと推定しています。
一方で、出場するだけでもらえたはずの賞金等の損失約10億円については、デンマークサッカー協会(DBU)がそれありきで予算を組んでいるわけではないため影響は軽微だとしています。
>>2-5あたりに続く
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