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アベノミクス成長戦略の一環、「プロ野球16球団」構想は果たして実現可能か(※3~4ページ目)
(1~2ページ目のスレスレリンク(mnewsplus板)の続き)
今、トップレベルの選手供給は少年時代から硬式でプレーするリトルリーグ、
シニアリーグといった限られたリーグに頼っている。広大な裾野を持つピラミッドから
才能が現れるのではなく、少数のリーグで英才教育を受けた野球エリートが
そのままプロになる状況だ。当然、トップ選手の供給数も少なくなる。
そんな中でNPBの選手を一気に300人近くも増やしたら、レベルが低下するのは
明らか。そんなプロ野球を、お客は入場料を出して観に行くのかということだ。
◆スポンサー企業は現れるか 設立地域の市場規模は十分か
また、新球団運営に手をあげる企業があるか、という問題もある。現行の12球団でも
黒字経営をしているところは少ないといわれる。プロ野球の球団は収支を明らかにしていない
ところが多いので、推測するしかないが、定説によれば黒字なのは巨人、阪神、広島だけ
(巨人と阪神は人気が高く、入場料収入やグッズ販売などでペイしている、広島は市民球団
のため、選手の年俸を抑える身の丈経営をしているからだといわれる)。多くの地元ファンを
球場に集めるソフトバンク、日本ハム、楽天はトントンで、他は親会社から宣伝費名目の
10億円単位の支援を受けているといわれる。新球団を創設しようとしている地域で、
そんな赤字補てんができる余力のある企業はそう簡単にはみつからないだろう。
Jリーグのクラブや広島のように、親会社の支援頼みではなく企業努力による
独立採算でやればいいじゃないかという声もあるだろうが、それにはその地域の
市場規模も問われる。実際、埼玉西武は人口が少ない所沢を本拠地としているため、
入場料収入で苦戦しているといわれる。新設球団ができた地域は最初は
話題性で多くの観客を呼び込めるかもしれないが、市場規模が限られていれば、
観客動員が維持できるかという不安もあるわけだ。そんなこんなのハードルがあるのである。
それに加えて筆者は、プロ野球観戦は果たして今の時代に即したスポーツなのか、という
思いがある。野球観戦は時間的、精神的な余裕がなければ楽しめないものである。野球観戦
の醍醐味のひとつが投手と打者の対決だ。「初球はボールで入って、相手打者の気配を読む」、
「胸元のストレートを投げておいて、外角で勝負」といったやつだ。こうした一球一球の
やりとりを楽しむには、明日の不安がなく、今は野球観戦に集中できるという境遇が必要だ。
野球人気全盛の頃は、それがあった。今の時代と比べれば豊かとはいえなかったが、
将来に希望が持てた。真面目に仕事をしていれば、豊かな日々が待っているという
思いがあった。だから一日、汗して働いた後は、家に帰ってビールの一杯も飲みながらテレビで
野球観戦を楽しめた。プロ野球中継は一日の疲れを癒し明日の活力源になるもので、
だからこそ一投一打をじっくり味わい、試合の決着がつくまで楽しむことができたのだ。
しかし今、そんな余裕はない。若い層はなかなか正社員になれず、フリーターに
甘んじる人も多い。壮年層も年金をはじめとする社会保障は当てにならないという
思いがある。誰もがそうした将来に対する不安があり、「初球はボールで入る」といった
一球一球の駆け引きや決着が着くまで見続ける余裕はないのではないか。
筆者は50代後半のプロ野球にどっぷり浸かった世代で周囲にも野球好きがたくさんいる。
彼らに話を聞くと、地上波で野球中継があれば見るそうだが、一球一球、その意味を
探りながら見ることはできなくなっているという。そうした心の余裕を失っているのだ。
まして野球を見る習慣があまりない若い層にとっては、進行がスローモーでイライラするスポーツ
と映るのではないだろうか。大相撲の仕切りを長くて無駄と感じるのと同じ感覚で、
余裕のない時代にそぐわないのが野球観戦なのである。
(>>2-5辺りに続く)
ダイヤモンド・オンライン 2014年5月27日(スポーツライター 相沢光一)
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