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「江夏の21球」のような1球1球に意味のあるドラマを
サッカーに負ける日は来るのか-。プロ野球界に差し迫る恐怖である。
5月27日のW杯壮行試合、日本代表-キプロス戦は、埼玉スタジアムに
5万8000人を集め、地上波のテレビ中継の平均視聴率22・5%。
相手チームの格が下で、ゴールラッシュが期待できたこともあるのだろう。
あくまで代表戦で、Jリーグではこうはいかないことも承知している。
それを割り引いても、相当な盛り上がり。日本は3日の強化試合でも
コスタリカに快勝。4日付のサンスポでも1-5、最終面を占拠した。
W杯は4年に1度。来年から3年間は熱狂も収まるさ…と安閑と
構えていて、いいのだろうか、野球界は。日本代表がベスト8、
ベスト4と勝ち進んだら、状況も一変するのではなかろうか。
サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏は、警鐘を鳴らしてきた。
「サッカー界は日本協会のもと、アマチュアからプロまで、子供から大人まで、
組織が統率されている。J3制導入で、裾野も広がった。これは脅威。
野球界がそれを、どこまで認識しているか、だね」
同・野村克也氏も、ぼやく。「サッカーをする子供は年々、増えるだろうな。
野球と比較して〔1〕道具に金がかからない〔2〕ボールが当たっても痛くない、
だからな」。最近の家庭事情と、子供気質に合っているという。さらに野村氏は-。
「プロ野球も、今のような試合ばかりだと、ファン離れは進むよ。
あの『江夏の21球』のような、1球1球に意味のあるドラマを、見せないとな。
野球の強みは、1億総評論家、1億総監督になれること。例えば、
五回二死一、二塁、オレだったら先発投手交代だ…などと、
誰もが局面を切り取って論じられる。そうした試合の妙味、
勝負の醍醐(だいご)味を、提供してくれないと、なあ」
ということで今回は、サッカーに押されて野球の紙面が減る一方だから、
いつもより短めの行数で、終わる。
■内井義隆(うちい・よしたか)
1987年入社。プロ野球担当を皮切りに、格闘技班、特報班、
サッカー班各デスク、大阪単身赴任、運動部長を経て、
一2012年から編集委員で現場復帰。別名「流浪の夜光虫」。
(紙面から)
サンスポ 2014.6.5 11:30
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(>>2-5辺りに関連記事)
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