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「カープ女子」関東にも経済効果 なぜ支持を集めているのか
プロ野球１２球団でリーグ優勝が最も遠いセ・リーグの広島が今季快進撃を続け、１９９１年以来２３年ぶりの栄冠を
目指している。「カープ女子」と呼ばれる熱烈な若い女性ファンを中心に人気は沸騰し、その盛り上がりは関東にも波及した。
本拠地マツダスタジアム（広島市）の１試合平均の観客数は昨季に比べ、９日現在で２０００人近くアップした。
横浜スタジアムなど敵地でも強力な動員力を誇り、ヤクルト球団営業部の黒石誠治課長は巨人、阪神に代わるドル箱に
なったとした上で「赤いユニホームばかりで（神宮球場が広島の）本拠地みたいな雰囲気になる」と驚く。
■観戦ツアーも人気■ 球界は９３年、フリーエージェント、ドラフトでの逆指名の両制度を導入し、選手が所属先を
選べるようになった。資金力に欠ける広島は主力の流出や有力新人の獲得で苦しみ、長期低迷した。観客動員も
２００９年にオープンした新球場効果に陰りが出て、近年は頭打ちだった。
だが昨季、１６年ぶりのＡクラス入りで風向きが変わる。巨人やソフトバンクのように補強に頼らず、堂林翔太内野手ら
生え抜きを地道に育成し、クライマックスシリーズに初進出したことが共感を呼んだ。ことしは大型新人の
大瀬良大地投手も入団し、東京・銀座の広島県のアンテナショップでは球団グッズの売り上げが昨年の２倍以上という。
松田元オーナーは「若い選手を育て、強いチームに勝つという球団の考えに賛同してくれているのでは」と分析した。
球団は特に女性ファン獲得に狙いを定めている。１０日の本拠地での中日戦では「関東カープ女子 野球観戦ツアー」を
実施した。関東在住の女性ファンを対象に往復の新幹線代を球団が負担し、チケット代と食事代の６５００円だけで
観戦できるイベント。１４８人の定員に対し、実に２３０５人の応募があった。
横浜市の２９歳の会社員は「広島にゆかりはないが、一生懸命強くなってきたチームが好き。一回は来てみたかった」と
目を輝かせた。約４００万円の赤字企画という松田オーナーは「すぐに投資を回収できるとは思わないが、何人かがまた
球場に来てくれれば」と長い目の策を強調した。
■若手育つ過程に興味■ ＪＴＢパブリッシングは昨年３月に１球団の特集としては初となる「るるぶ広島カープ」を
２０、３０代の女性をターゲットに発刊した。初版の３万５０００部はほぼ完売だ。
なぜ女性に支持されるのか。勇上香織編集長は「若い選手が育っていく過程が面白いのでは」と指摘した。関東の広島ファン向けの
学生制作フリーペーパー「Ｃａｐｉｔａｌ」の若山優里奈編集長は「人間味あふれる温かいチームが魅力」と話し、
年２０回以上訪れる外野席は「若い人がどんどん初観戦の人を連れてくる」と雪だるま式のファン増加を実感する。
エースの前田健太投手は「（プロ野球は）男性や年配のファンが多い中で若い女性がたくさん来るということは、それだけ
球団に魅力がある証拠」と黄色い声援を力に大車輪の活躍を期した。
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