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日本海に採取しやすいメタンハイドレート 実用化への期待高まる
J-CASTニュース 11月18日(日)17時4分配信
未来のエネルギー源として期待されるメタンハイドレートをオホーツク海や日本海の海底下数メートルで発見し、回収に成功したというニュースが、世間をにぎわしている。
明治大学と北見工業大学、東京大学などの共同調査グループ「表層ガスハイドレート研究コンソーシアム」が2012年10月末に発表した。
これまでに太平洋側で確認された海底の地下深くにあるものと比べ、海底の地下数メートルの浅い部分に埋まっていて掘り出しやすいのが大きなポイント。有力な国産エネルギー源としての関心を集めている。
■日本のEEZの範囲内に眠る
メタンハイドレートは天然ガスの主成分メタンを水分子が囲んだ構造体で、低温・高圧の環境の地底や海底に氷結した状態で存在するので「燃える氷」と呼ばれる。
メタンは、そのまま大気中に放出されると二酸化炭素(CO2)の20倍もの温室効果があるが、メタンを燃焼させた場合のCO2排出量は石油や石炭の半分とされ、地球温暖化対策としても有効なエネルギー源と目される。
今回「発見」されたのは北海道網走市沖のオホーツク海と、秋田、山形、新潟各県沖の日本海の海底。いずれも沖合30~50キロ程度、日本の排他的経済水域(EEZ)の範囲で、一部を掘り出して回収した。
さらに兵庫県から島根県にかけての日本海沖でも存在を示す証拠を確認しており、調査の中心メンバーの松本良・明治大特任教授は「こうした場所はたくさんあると考えてよい」と述べ、日本海やオホーツク海の海底に広く眠っている可能性を示した。
世界でメタンハイドレートが存在するのは、陸上では北極や南極の地下数百メートル、海洋では水深500メートルより深い場所に限られる。
世界全体の推定埋蔵量は陸域で数十兆立方メートル、海域で数千兆立方メートルと、天然ガス確認埋蔵量(145兆立方メートル)の10倍、天然ガス、原油、石炭を合わせた総埋蔵量の2倍以上といわれる。
日本周辺ではこれまで、南海トラフ(東海地方沖から宮崎県沖)を中心とした太平洋側に関心が向けられ、調査も同海域に集中してきたので、推定埋蔵量は、南海トラフ北側に4200億~4兆2000億立方メートルが確度の高い数字として示されている。
このほか、地質調査所の調査で南海トラフ、北海道周辺海域を中心に6兆立方メートルとされる。この数字は日本の天然ガス使用量の100年分に匹敵する。日本海の埋蔵量は不明だが、資源に乏しい日本にとって極めて重要なのは衆目の一致するところだ。
問題は採集が難しいこと。石油のように流動しないし、天然ガスのような気体でなく、しかも地底・海底深いところにあるから簡単に掘って運び出すこともできない。
大きく分けて、加熱してガス化して採取する加熱法と、圧力を減らしてガス化して回収する減圧法があり、国は国家プロジェクトとして2018年度までに商業生産に向けた技術基盤を整備する予定で研究がすすめられている。
今のところ、カナダでの日加共同研究で減圧法が有力とされているが、コスト的に見合う段階には程遠いのが実情だ。どの方法にせよ、海底でも地中の浅い位置にあるほど取り出しやすいのは言うまでもない。
日本海側のメタンハイドレートについては、独立総合研究所の青山繁晴社長が、従来から採取しやすい状態で広範に存在することを、独自の調査をもとに主張し、
独立総研の協力で新潟、京都、兵庫など日本海側の10府県がこの9月、「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」(会長・山田啓二京都府知事)を結成したばかり。
青山氏は、政府が数百億円の国費を太平洋側に投じて成果が上がっていないため、日本海側の青山氏らの調査を無視してきたと再三、批判していたという因縁がある。
いずれにせよ、今回の 「国公認」の研究コンソーシアム(科学研究費補助金対象、産業技術総合研究所との共同研究)が日本海側に採取しやすいメタンハイドレートの存在を確認したことで、実用化に弾みがつくことが期待される。
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