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7/24の日経朝刊 真相深層 金利ゼロで転換社債、自社株買いに充当
上場企業の間で新手の財務手法が広がっている。資金を新株予約権付社債（転換社債＝ＣＢ）の発行で集め、
それを元手に自社株を市場から買い戻そうというものだ。一見、矛盾した行動に見えるが、株価の反応は良いようだ、この手法、本当に
「魔法のつえ」といえるのだろうか？
7日、カシオ計算機が決めたＣＢの発行が話題を呼んだ。ＣＢは社債でありながら、将来的には株価が上がれば株式に転換できる権利が付いている。
カシオはこのＣＢを使って、金利ゼロで100億円の調達を決めた。
ROE引き上げ
注目は使い道だ。集めた資金をすべて自社株買いにつぎ込む。さらに手元から25億円出して総額125億円の自社株買いを実施するという。
本来、企業がＣＢなどで資金を集めるのは、生産設備を増やすといった資金が足りないとき。
ところがカシオは、わざわざ外部から集めた資金で自社株買いをする。狙いは自己資本利益率（ROE）の引き上げだ。
株式市場が評価するのは少ない資本で公立よく利益を稼ぐ高ROEの企業だ。自社株買いで資本を減らせばROEは上がる。
「利益成長とともに自己資本を圧縮して資本の効率を高める（同社）」。この手法でカシオの今期ROEは当初見込みから0.9ポイント上がり、
13.3％になる見通しだ。
負債を抱えて資本を減らし、財務の見え方を変える。英語のリキャピタライゼーション（資本と負債の再構成）から「リキャップＣＢ」と
呼ばれる。カシオの場合、発表翌日に株価は7％上げた。
企業にＣＢ発行を売り込む証券会社のセールストークは直接的だ。「株価を上げるには最善の財務手法です」。東レも地銀も発行に乗り出した。