12/05/06 00:52:59.61 UajOyGqUO
>>544
小悪魔は、泰平が内臓を引っ張り出され叫び声をあげるたびに腹を抱えて笑っていた。
「あーはっはっはは! 聞いた? 泰平が『嫌ああ』って! あっははははは!!」
泰平は虚ろな目で切り取られた自分の内臓を眺めている。
泰平はもう、自分が生き続けることはできないのだと、そこで悟ってしまった。
既に小悪魔の声を聞きとる余裕すらなく、その声に反応を示すことも勿論なかった。
内臓を切り取ったら、腹はいったん縫い合わせられることになる。
お腹の中に鈍い痛みが走り続けているが、切り取られる瞬間からすればずいぶん穏やかな痛みであった。
しかし生きるために必要な臓器が二つも取られてしまった泰平は、どうあってもすぐに死んでしまうだろう。
もう誰も泰平を助けることはできないのだ。
先ほどまでの暴れようが嘘のように、泰平はすっかりおとなしくなった。
ただ針と糸が皮膚を通るたびに小さく喘ぐ、それだけだった。
腹が閉じられればいよいよ串刺し、そして泰平の丸焼きである。
泰平はもうこれ以上生きていたいなんて、これっぽちも思っていなかった。
ただもう早く楽にしてくれと、それだけを考えていた。
目の色は濁って、死んだ魚の様になっていた。
「ふーん、これが丸焼きに使う串なの?」
「ええ、外国の技術を取り入れた、最近の串刺し棒よ!」
元帥は胸を張る。
技術者と交渉して作らせた、郷で一本しかない品である。
棒自体を発熱させることが出来、皮膚から内臓までまんべんなく焼けるスグレモノらしい。
全長250センチ・直径11センチ程度の鉄製で、なかなか重く、刺してやるのは意外と大変だ。
ましてや内臓の大部分を温存したままやる今回の丸焼きでは、怪力といってもいい力が必要だ。