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第280回:海賊版対策条約(ACTA)に関するQ&A
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Q4:ACTAによってインターネットの監視が強化されるの?
⇒ACTAの交渉過程でストライクポリシーなどが議論された形跡がありますが
(当ブログのACTA関連記事参照)、最終的にインターネット・サービス・
プロバイダー(ISP)の責任について残されたのは、以下のような第27条第4項です。
第二十七条 デジタル環境における執行
4 締約国は、自国の法令に従い、商標権又は著作権若しくは関連する権利が侵害されて
いることについて権利者が法的に十分な主張を提起し、かつ、これらの権利の保護又は
行使のために侵害に使用されたと申し立てられたアカウントを保有する者を特定することが
できる十分な情報が求められている場合において、オンライン・サービス・プロバイダに
対し当該情報を当該権利者に速やかに開示するよう命ずる権限を自国の権限のある当局に
付与することができる。このような手続は、電子商取引を含む正当な活動の新たな障害と
なることを回避し、かつ、表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則が
当該締約国の法令に従って維持されるような態様で実施される。
この条項は基本的に情報開示の可能性について書かれているだけで、今のところ日本の
現行プロバイダー責任制限法に関してプロバイダーの責任を不当に増やす形での強化を
求めているものとは読めません。ただし、表現の自由云々は一般的な記載に過ぎず、
ストライクポリシーなどの非道なネット検閲を禁止するとまでは読めないため、
今後このような条項を踏み台にしてさらなる権利者団体などがさらなる規制強化の検討を
求めてくることは十分あり得るでしょうし、ダウンロード犯罪化との関係でこのような
条項が微妙な問題を引き起こす可能性もあり、批准された場合、即座にどうこうという
ことはないでしょうが、残念ながら今後も様々なネット規制強化の検討について十分な
注視が必要となって来るでしょう。