12/07/13 22:55:40.57 kD1/sIY40
もしがどんだけやれるのか見てやろう
3:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 22:57:15.28 qwQNfO+x0
>>1はスレ立て代行頼みました。
ありがとうございます。
以下、本編を始めます。
4:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 22:59:49.90 qwQNfO+x0
▼公園・公衆トイレ前
―ザァァ。
猫(そういや、あの時もこんな雨だったか)
猫(濡れたダンボール箱、少量の餌)
猫(あの人何か言いながら俺の首輪を外してた)
猫(いくら鳴き続けてもあの人は戻って来なくて)
猫(そうして三日経ってようやく)
猫(捨てられたんだって気づいたんだっけな……)
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/13 23:01:39.05 kD1/sIY40
もういいや
6:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:01:52.79 qwQNfO+x0
猫(もうやめよう。考えるだけ不毛だ)
猫(あの頃と俺は違う)
猫(寝床も餌も自分で探せる)
猫(俺はもう一人で生きていける)
猫(一人で、生きていけるんだ……)
7:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:04:05.34 qwQNfO+x0
猫(ん? 誰かやって来る)
タッタッタ
女「…………ふぅ」
猫(なんだ? コイツも雨宿りか?)
猫(まぁ俺には関係無いけどな)
8:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:07:51.55 qwQNfO+x0
女「……キミも雨宿りかい?」
猫「……」
女「耳、破れてる。痛そうだね……」
猫「……」
女「雨、早く止むといいね。キミも早く家に帰りたいだろう?」
猫「……」
女「え~っと。私の声、聞こえてるかな?」
猫「……」
女「……無視されちゃったか。ごめんね」
9:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:13:23.09 qwQNfO+x0
猫(何か言われた気がするが……)
猫(気にしたって何も聞こえないし、どうでもいいか)
猫(しかし音の無い世界ってのはずいぶんと不便で退屈だ)
猫(雨音すらも全然聞こえねぇ。どんな音だったっけな)
猫(まったく退屈だ。こう体が濡れてちゃ毛づくろいもする気も起きねぇ……)
10:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:16:18.07 qwQNfO+x0
女「……ねえ?」
猫「……」
女「もしかして、本当に聞こえてないの?」
猫「……」
女「……」スタスタスタ
猫「……」
11:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:20:00.15 qwQNfO+x0
猫(雨なんて結局、避ければ濡れずに済むんだ)
猫(つまり当たらなければどうということはない)
猫(俺の運動神経なら軽く避けられんじゃないか?)
猫(右左右右左右左右左左左右)
猫(うん。やっぱり俺ならいける。いつか試して―)
女「ねえ?猫君?」
猫「!?」ビクッ
12:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:24:38.87 qwQNfO+x0
猫(何だコイツ!いつの間にこっちに来たんだ!?)
女「やっと気づいてくれた。やっぱり耳が聞こえないんだね」
猫(ハァ?何喋ってんだ?こっちは聞こえねんだよ)
女「驚いても逃げないなんて、キミはきっと強い猫なんだね」
女「あっ、そうだ!」ゴソゴソ
猫(なんだよ。何しようってんだよ)
女「ほら。お昼ごはんの残りだけどあげるよ」
13:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:29:19.03 qwQNfO+x0
女「こんなのしか持ってないけど、食べる?」
猫(なんだアレ……)
猫(真っ白くてツヤのある謎の物体だ)
猫(どことなく魚の良い匂いはするが……)
女「かまぼこだよ。ほら、食べれるよ」パクッ
猫(うわ、口に含んだ……。食えるのか、それ)
14:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:33:33.29 qwQNfO+x0
女「ほら。食べなよ」ポイッ
猫(こっちに投げた)
猫(……くれるってことか?)
女「……」モグモグ
猫(そういや、この雨で餌探し出来なかったもんな……)
女「……」モグモグ
15:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:37:13.35 qwQNfO+x0
猫『……すまない。恩に着る』
「ニャー」
女「おっ。ようやく喋ってくれたね」
猫「……」パクッ
女「意外とカワイイ声だね。目つき悪いのに。ふふっ」
猫「……」モグモグ
女「キミを見てると、昔飼ってた猫を思い出すよ」
猫「……」モグモグ
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/13 23:39:39.85 h/tw+me70
しえ
17:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:44:37.33 qwQNfO+x0
女「ねぇ。少し聞いてもらえるかな?」
女「……って言ってもキミには聞こえないんだろうけど。あはは」
猫「……」モグモグ
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/13 23:49:17.68 AmErixJE0
不 凍 液 in かまぼこ
19:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:50:30.09 qwQNfO+x0
女「私ね、子供の頃にキミみたいな猫を飼ってたんだ」
女「ムックって名前の猫」
女「真っ白なのに、お母さんがムックって付けちゃったんだ」
女「おかしいよね。でもね、なんか妙に合ってて」
女「気が付いたらみんなそう呼んでたんだ」
20:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:53:49.22 qwQNfO+x0
女「ご飯を食べる時も寝る時もずっと一緒でね」
女「私、ムックと一番の仲良しだったんだよ」
女「私あまり友達がいなかったから」
女「学校から家に帰るのが毎日楽しみでしかたなかった」
女「ムックと一緒にいる時間が大好きだったんだ」
21:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/13 23:57:20.40 qwQNfO+x0
女「けれどその時間も3年しか、たったの3年しか続かなかった」
女「ムックはね、病気で死んじゃったんだ」
女「あの時は散々泣いたなァ」
女「何ヶ月も本当に何もする気力が無かった……」
女「思い出すと今でも胸が苦しくなるよ……」
22:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:01:15.35 WbEX9Ek30
女「でもね、悲しかったことより今は楽しかったことを思い出すように―」
猫「……」チョコン
女「あれ、もう食べ終わってた?」
猫「……」
女「ごめんね。話が長かったね」
女「聞いてくれてありがとう」
猫「……」
23:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:04:52.37 WbEX9Ek30
猫(何かまた色々喋ってたようだけど)
猫(俺、アンタが何言ってるのかわからんのよ)
猫(ただ、飯はうまかった)
猫『ごちそうさま』
「ニャアー」
女「“ごちそうさま”って言ってるのかな?」クスッ
24:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:08:11.13 WbEX9Ek30
猫(実はかなり腹ペコだったんだ。助かったよ)
猫『ありがとさん』
「ニャーオ」
女「今度は“ありがとう”かな?」クスッ
女「どういたしまして」
25:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:13:13.37 WbEX9Ek30
猫(アンタは良い奴なんだな)
猫(この一飯のお礼、俺は忘れないぜ)
女「あの……かまぼこあげた代わりにさ」ウズウズ
女「ちょっと撫でてもいいかな?」ソ~ッ
猫(おっと。だからって気易く触らせはしないぜ)ヒョイ
女「あっ。避けられた……」
26:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:17:23.82 WbEX9Ek30
―ポツリ、ポツリ。
女「ようやく雨が止みそうだね」
猫(雨そろそろ止むか)
猫(しかし、腹が膨れて今は動きたくねぇ)
女「……あのさ」
女「またキミに会いに来ても……いいかな?」
猫「……」
27:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:23:47.16 WbEX9Ek30
女「またご飯持って来るから」
女「触れなくてもいいから」
女「また来てもいいかな?」
猫「……」
女「……なんて。キミからすれば、私なんて興味無いよね」
女「それじゃ、バイバイ」スタスタ
28:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:29:10.72 WbEX9Ek30
猫(ん? アンタ帰るのか?)
猫『気を付けて帰れよ』
「ニャー」
女「!?」
猫『図々しくて悪いが、次もまた何かくれると助かる』
「ニャー、ニャー」
女「……うん。ありがとう、また来るよ」
女「またね。“ムック”」バイバイ
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 00:34:47.71 qcZz+NqX0
あげます
30:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:35:01.41 WbEX9Ek30
猫(……そしてまた一人か)
猫(人との交流は久しぶりだな)
猫(むしろ飼い主以来か?)
猫(そういえば、俺の飼い主はどんな人だったけか)
猫(……全然思い出せん)
猫(そりゃそうだ。俺もまだ子猫だったしな)
猫(唯一覚えているのは、最後の雨の日だけか……)
31:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:40:34.09 WbEX9Ek30
▼後日……
女「ムック」
猫『おぉ。アンタか』
「ニャー」
女「ようやく覚えてくれたみたいだね」
猫『アンタの顔覚えたぜ。相変わらず何言ってるかはわからないがな』
「ニャァー。ニャー」
女「そろそろ触らせてくれるかな……」ソ~ッ
猫(だが、まだ触れさす程俺は甘くない)ヒョイ
女「うぅ~。イジワルだね、キミは……」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 00:41:06.40 b/gU7bgS0
しええ
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 00:44:55.15 r87BI1TV0
これって仕事しろとか書いていた人?
34:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:44:58.81 WbEX9Ek30
猫「……」パクッ モグモグ
女「ホント、ムックは小柄なのに良く食べるよね」
女「野良なのに毛並みも悪くないし」
女「元々どこかの飼い猫だったのかな」
女「……それでも、こうして生きているキミはたくましいね」
猫「……」モグモグ
35:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:50:19.62 WbEX9Ek30
猫『ごちそうさま』
「ニャー」
女「ムックは食べ終わると必ず鳴くんだね。お礼なの?」
猫『今日の飯は美味であった』
「ニャー」
女「ふふっ。どういたしまして」クスッ
女「それじゃ、また来るね。ムック」
猫『気をつけて帰れよ』
「ンニャー」
女「またね」バイバイ
36:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 00:54:25.36 WbEX9Ek30
猫(まさか、あの日から毎日来るとはな)
猫(ずいぶん酔狂な人間もいたもんだ)
猫(いや、大変ありがたい。大いに助かる)
猫(しかし、狩りの仕方を忘れてしまいそうだ)
猫(たまには自分で餌を取りに行かねばな)
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 00:57:07.01 b/gU7bgS0
ムックは猫種はなんだろう
38:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:00:37.02 WbEX9Ek30
猫(人間と触れ合うのがこうも幸せなことだとは)
猫(全く思いもよらなかった)
猫(こんな感じ初めてだ……)
39:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:05:42.91 WbEX9Ek30
猫(おそらく俺はアイツに名前を付けられている)
猫(よくわからないが“ 、 、 ”と呼ばれているのはわかる)
猫(名前か。俺の元の名前は何だったんだろう)
猫(あの時。首輪を外される時、何か言われてたけど)
猫(アレは名前を呼んでたんじゃない)
猫(アレはおそらく……懺悔だ)
40:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:09:20.91 WbEX9Ek30
猫(そして、あの日から俺は一人になった……)
猫(いや、俺はもう一人じゃない)
猫(今はあの、酔狂なアイツがいてくれるんだ)
猫(……)
猫(まぁ。そろそろ触れさせてやってもいいかな)
猫(やれやれ。俺も甘くなったもんだ)
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:11:01.35 b/gU7bgS0
獣姦フラグ
42:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:12:34.11 WbEX9Ek30
▼翌日
―ザァァァ。
猫(今日は一日中雨か)
猫(どうにも雨は好きになれない)
猫(身体が濡れるのが嫌なのもあるが)
猫(やはりあの日のトラウマが大部分か)
43:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:15:18.39 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
猫(……)
猫(……)
猫(……)
猫(……)
猫(……アイツ、遅いな)
猫「……」
44:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:19:59.47 WbEX9Ek30
▼翌日
―ザァァァ。
猫(……今日もまた一日中雨か)
猫(結局アイツ来なかったな)
猫(まぁそういう日もあるだろう)
猫(この雨だ。ここへ来るのも一苦労だろうしな)
猫(……決して、寂しいわけではない)
45:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:25:24.70 WbEX9Ek30
▼翌日
―ポツリ、ポツリ。
猫(……)
猫(三日続けて、今日もまた来る気配は無い)
猫(良い奴だと思ったんだが)
猫(やはり気まぐれだったのか……)
猫(まぁ慣れたもんだろ。捨てられるのは)
猫(擦れられるのは……)
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:26:34.21 b/gU7bgS0
鬱展開か…
47:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:33:12.35 WbEX9Ek30
「訂正」
×:猫(擦れられるのは……)
○:猫(捨てられるのは……)
48:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:37:40.59 WbEX9Ek30
猫(わかってたハズだ)
猫(人間ってのは所詮そんなもんだってこと)
猫(都合が悪くなれば簡単に捨てることも)
猫(……所詮俺は野良猫だ)
猫(元から頼るものは何もない。何も頼らない)
猫(そうだよ。そうなんだよ……)
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:38:11.65 HGi9HdGi0
猫ジェラシー
50:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:40:25.89 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
女「ムックー!」
女「ねぇ!ムックー!」
猫「……」
女「よかった、そこにいたんだ」
猫「……」
女「ゴメンね、何日も来れなくて。今日も御飯持ってきたよ」
51:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:43:19.51 WbEX9Ek30
猫「……」
女「?」
猫「……」
女「ほっ、ほらコレ」
女「今日は奮発してみたんだ。猫缶だぞ」パカッ
猫「……」
女「どうしたの?具合悪いの?」
猫「……」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:44:02.51 HGi9HdGi0
終わらない雨
53:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:45:20.22 WbEX9Ek30
猫(腹減った。あんなご馳走見たことない)
猫(見せびらかしやがって)
猫(俺はもうアンタの物には手を出さない)
猫(俺はもう誰も頼らない)
猫(決めたんだ、俺は)
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:46:32.67 b/gU7bgS0
しええ
55:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:49:07.99 WbEX9Ek30
猫(結局の所、アンタも俺を捨てたアイツと同じだよ)
猫(気まぐれで相手して、飽きたら捨てる)
猫(自分の都合が悪くなると俺を忘れて)
猫(自分の都合の良いように俺を忘れていくんだ)
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:50:30.33 HGi9HdGi0
レイニーブルー
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:51:01.67 jSDiQ9XI0
>>2>>5の流れだけでこのスレに来た価値があった
58:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:52:41.00 WbEX9Ek30
猫(今までアンタに甘んじていた俺にも非はある)
猫(アンタを責めるようなことはしない)
猫(だからアンタも)
猫(あの日のように俺を捨てることになるなら)
猫(あの日のように全て奪うなら)
猫(もう何も与えないでくれ……)
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:53:28.53 UkaLTV200
>>2,5
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 01:54:15.15 4s36med20
age
61:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:54:54.07 WbEX9Ek30
猫「……」スタスタ
女「ムック?どこに行くの?」
猫「……」スタスタ
女「ほら、猫缶だぞ?おいしいぞ?」
猫「……」スタスタ
62:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:57:30.85 WbEX9Ek30
女「もしかして、来なかったから怒ってるの……?」
猫「……」スタスタ
女「ねぇ。ちょっと待って―」スッ
猫『俺に触るなっ!』
「シャーッ!」
女「!?」ビクッ
猫「……」スタスタ
女「……ムック」
63:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 01:59:53.86 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
猫(しかしまぁ、ずいぶんと降るもんだ)
猫(空ってのはどれだけ水を溜めこんでるんだ?)
猫(そもそも何で雨が降るんだ?)
猫(空は泣くのか?これは涙か?)
猫(……あぁ。肌に当たる雨粒が痛いな)
猫(今までで一番痛い。あの時よりも……)
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:00:22.58 HGi9HdGi0
孤独の雨
65:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:03:25.06 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
猫(俺は野良猫、元から一人だ)
猫(元に戻っただけ。それ以上でもそれ以下でもない)
猫(慈愛のフリでを差し伸べられるエゴならいらない)
猫(甘んじて期待させられるから裏切られたよう思うんだ)
猫(だから俺はアイツとの関わりを絶つ)
猫(それでいいんだ)
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:04:02.05 rFzbZ8oP0
最近野良猫こないんだよなー
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:06:42.98 4s36med20
支援
68:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:07:05.51 WbEX9Ek30
猫(けど、俺はわかってる……)
猫(本当はわかってるんだよ)
猫(一人になるのが悲しいんだよ!寂しいんだよ!)
猫(本当は、俺は……)
猫(俺は!一人になんてなりたくなかった!)
猫(何でだよ!何で捨てるんだよ!)
猫(何でこうなるんだよ……)
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:08:44.51 HGi9HdGi0
雨(涙)で何も見えない
70:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:11:23.62 WbEX9Ek30
猫(いくら嘆いても、誰にも届きやしない)
猫(届いた所でどうせまた捨てられる)
猫(だからこそ俺は)
猫(独りにならなくちゃいけないんだ)
猫(独りで生きていかなくちゃいけないんだ)
71:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:13:46.24 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
猫(一向に止みそうにないな)
猫(……)
猫(アイツは帰っただろうか)
猫(帰っただろうな……)
猫「……」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:14:42.10 6kTp4w0I0
支援
73:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:16:37.63 WbEX9Ek30
猫(思えば、アイツも驚いただろうに)
猫(数日振りに会ったと思ったら)
猫(俺の態度が豹変しているんだからな)
猫(理解できないって顔してたよな)
猫(あっちからすれば裏切ったのは、俺か……?)
猫(いや、でも……)
猫「…………」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:19:19.65 HGi9HdGi0
雨音
75:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:20:53.31 WbEX9Ek30
猫(アイツは俺を捨てた奴と同じ)
猫(……本当に同じなのか?)
猫(あの雨の日、あの人は帰って来なかった)
猫(いくら呼んでも、助けを求めても)
猫(あの人は振り向きすらしなかった)
猫(でもアイツは……)
猫「………………」
猫(……少しだけ、様子を見に行くか)
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:21:37.06 3VABuPdR0
し
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:22:44.23 4s36med20
え
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:23:47.15 6kTp4w0I0
ん
79:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:24:34.40 WbEX9Ek30
―ザァァァ。
猫(……)スタスタ
猫(雨が冷たい。痛い)
猫(こんな様子じゃ、もうとっくに帰って―!?)
女「……」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:25:22.87 rFzbZ8oP0
!?
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:26:55.88 HGi9HdGi0
再会の雨
82:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:27:37.77 WbEX9Ek30
猫(まさかいるとは……)
猫(こんな土砂降りの中ずっと立ってたのか?)
猫(何故だ?何でだ?何の為に?)
猫(まさか……もしかして)
猫(俺が来るのを待ってたのか……?)
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:28:04.59 YRWPhkL90
DTBスレかと
84:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:31:19.61 WbEX9Ek30
猫 スタスタ
女「……あっ」
猫『何してんだ。せめて雨宿りしたらどうだ』
「ニャー」
女「ムック……」
猫『どうした?アンタ、泣いているのか?』
「ニャァー。ニャー」
女「ムック……ごめんなさい!」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:32:42.18 YV/kEs/c0
ほ
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:35:05.43 6kTp4w0I0
し
87:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:35:25.75 WbEX9Ek30
女「何日も放ってしまってごめんなさい!」
猫『おいおい、どうした?どこか痛いのか?寒いのか?』
「ニャーオ、ニャーォ」
女「ムックを捨てた訳じゃないだよ!本当に心配だったんだよ!」
女「ずっと心配だったのに、でも来たくても来れなくて」
女「なのにムックは待っててくれてたんだよね。本当にごめんね……」
88:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:38:46.60 WbEX9Ek30
女「捨てたって思われて当然だよね」
女「嫌われて当然だよね……ごめんね」
猫「…………」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:38:59.21 HGi9HdGi0
雨の刻
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:41:00.86 3VABuPdR0
彼岸雨
91:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:44:06.04 WbEX9Ek30
猫(……すまない)
猫(俺には今、アンタが何を言ってるかわからない)
猫(もし俺の耳がちゃんと聞こえてても)
猫(きっとその言語は理解出来ないんだろうな)
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:46:16.81 HGi9HdGi0
すれ違う雨
93:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:47:01.14 WbEX9Ek30
猫(でもわかる。アンタの思いはちゃんと通じてるよ)
猫(その顔見りゃ大体わかるけど)
猫(でもそれだけじゃない)
猫(きっと、俺とアンタは今、同じ気持ちだろうからさ)
猫『すまん。悪かった』
「ニャァ」スリスリ
女「!?」
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:48:53.39 HGi9HdGi0
雨の匂いが君を誘う
95:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:49:26.13 WbEX9Ek30
猫『勝手に怒って、捨てられたと決めつけてゴメン』
「ニャー、ニャー」スリスリ
女「ムック……」ナデナデ
猫「ゴロゴロ」
女「許してくれるの……?」
猫『許して欲しい』
「ニャァ」
女「ムック、ありがとう……」ナデナデ
猫「ゴロゴロ」
96:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:52:09.88 WbEX9Ek30
猫『泣きやんだか?』
「ニャー」スリスリ
女「ごめんね。本当にごめん」
猫(まだ泣いてるのかよ)
猫(なぁ。いつもみたいに笑えよ)
猫(笑えるまで傍にいてやるからさ)
猫『ニャー』
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 02:54:10.71 HGi9HdGi0
雨に包まれて
98:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:55:09.13 WbEX9Ek30
猫(アンタは裏切らない。あの人とは違う)
猫(今はもう心からそう思ってる)
猫(いつでも来いよ。俺はここにいるから)
猫『俺はここで、アンタが来るのをずっと待ってるよ』
「ニャー、ニャー」スリスリ
女「ふふっ」クスッ
99:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 02:58:56.22 WbEX9Ek30
女「私、約束するよ」
女「これからずっとここに来るから」
女「来れない時もあるかもしれないけど……」
女「絶対ムックの所に来るから、待っててね」
女「これかもっと仲良しになろうね」ナデナデ
猫『ニャーオ』
100:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:01:54.84 WbEX9Ek30
―ポツリ。ポツリ。
猫(雨、止んだか)
女「雨、止んだね。よかったねムック」
猫(アンタもようやく泣きやんだみたいだな)
猫(きっと雨が全部洗い流してくれたんだな)
猫(俺の心の泥も、アンタの涙も)
101:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:05:04.87 WbEX9Ek30
猫「……」パクッ モグモグ
女「ふふっ」ナデナデ
猫『ごちそうさまでした』
「ニャー」
女「どういたしまして」
女「それじゃ、また明日も来るね」ナデナデ
猫『ニャー』
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:05:58.62 HGi9HdGi0
雨のち晴れ
103:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:07:58.71 WbEX9Ek30
猫(俺、t待つよ。アンタが来るのを)
猫(これは約束の証だ)ペロペロ
女「はは、くすぐったいよ」クスクスッ
猫「ゴロゴロゴロ」
女「ふふっ。またね。ムック」バイバイ
猫『またな』
「ニャーォ」
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:09:06.38 HGi9HdGi0
心に虹を
105:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:13:18.62 WbEX9Ek30
▼翌日
―ポツリ ポツリ
猫(今朝から降ってた雨もようやくやんだか)
猫(こんなに気持ちが晴れ晴れとしたのは初めてだ)
猫(せっかくだ。今日は外に出てみよう)
猫(この公園を出るのは何年ぶりだろうか)
猫(この耳じゃ外は出るのは危険だから禁止にしていたけど)
猫(今の俺なら何でもできる気がする)
106:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:17:01.27 WbEX9Ek30
猫(街中でふとアイツに出会えたら)
猫(アイツはどれくらい驚くだろうか)
猫(喜んでくれるかな)
猫(いつもみたいに笑ってくれるかな)
猫(何だか気持ちが高揚してきた)
猫(アイツに会ったら、何て話しかけ―)
―キキィッ! ドン!
107:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:19:55.94 WbEX9Ek30
猫(………………)
猫(………………)
猫(………………)
猫(………………)
猫(……今、何が……あったんだ?)
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:22:02.07 HGi9HdGi0
紅の雨
109:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:22:23.71 WbEX9Ek30
猫(何かデカイものがぶつかってきて、それで―)
猫(あぁダメだ……わかんねぇ……)
猫(起き上がれねぇ……)
猫(身体が重い……)
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:24:34.75 0uuqN4uIO
おいやめろよ
111:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:26:03.46 WbEX9Ek30
女「――!―――!」
猫(あぁ……アンタか)
女「――――!――!」
猫(本当に、会える、なんてな)
猫(予想以上に、驚いて、るけど)
女「―!――!――!」
猫(どうした?また、泣いてんのか?)
猫(アンタ実は、泣き虫、なんだな……)
112:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:29:09.20 WbEX9Ek30
猫(どう、した?また、どっか痛いのか?)ペロ…ペロ…
女「―!――!」
猫(すまん、な。こんな、ことしか、できねぇ)ペロ…ペロ…
女「――!―!―!」
猫(悪い……ちょっと……眠く、なって……きた)
女「―!―!―――!」
113:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:31:22.36 WbEX9Ek30
猫(大……丈夫。寝る……だけ……だよ)
猫(明日も……ちゃんと、待って、から)
猫(俺、ここ、いる……から)
猫(ずっと、傍……いる、か、ら)
猫(アンタ、の傍、に……さ)
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:32:29.52 HGi9HdGi0
雨
115:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:33:52.67 WbEX9Ek30
猫(あぁ……今朝まで、雨……降って、のに)
猫(空が、綺、麗――――
―――
――
―
―
-
116:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:37:17.11 WbEX9Ek30
女「ムック……嘘でしょ……」
女「ヤダよ!ダメだよ!起きてよ!」
女「約束したんだよ!これからずっと来るって!」
女「これからもっと仲良くなろうって約束したじゃない!」
女「死なないで!お願いだよ、ムック!」
女「目を開けて、ムック!お願い!ムック!」
女「ムックーーーー!」
117: 忍法帖【Lv=8,xxxP】
12/07/14 03:38:31.10 PIMgXJqb0
体がおもいですぞ!
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:40:10.19 jkL1EiBcO
お…終わり?
119:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:41:56.19 WbEX9Ek30
ムックへ
今日もまた出会った時のような雨が降っています。
そっちの天気はどう?やっぱり雨なのかな。
実を言うとね、キミがあの公園で雨宿りをしているのを見て、私も雨宿りしたんだ。
降りしきる雨を見つめる眼差しが、昔のムックにそっくりで、それで……。
雨を見つめるキミはとても悲しげだった。
昔、悲しい事があったのかな……。
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/07/14 03:45:15.14 ankD74l40
緑は敵ですぞwww
121:1 ◆Ly8skjOOFQ
12/07/14 03:45:24.60 WbEX9Ek30
それからは毎日会いに行ったよね。
私ね、キミのその眼差しにある悲しさを吹き飛ばしてあげたかったんだ。
だけど、キミはどう思ってたのかな。少しでも和らげられたかな。
ムックと出会えて本当によかった。楽しかった。
嫌われたと思った時はとても悲しかったけど、それでも最後は許してもらえて、すごく嬉しかった。