12/05/31 00:47:48.76 21UPjTmdP
(さやか魔女化直後)
何度経験しても苦しいものは苦しい。気がつくと私は枕を濡らしていた。
まどかからの拒絶。初めてでは無いにせよ、このワルプルギスの夜間際にくる精神的な波はいつも私を痛めつける。
朝日が差し込む時間ではあるが、カーテンが閉められ今なお暗い隔離された空間が憂鬱な心をなお一層際立たせた。
……学校に行かなくてはならない。ベッドから徐に立ち上がると髪をかきあげる。
制服のままベッドに身を投げたお陰でスカートに皺が目立つがこの際そんなことは気にしてなどいられない。
ワルプルギスの夜の訪れまであまり日数が無いにせよ、精神状態が不安定なまどかを一人にしておくのは危険だ。
このままインキュベーターの口車に載せられてはたまったものではない。
冷蔵庫から栄養ゼリーを取り出し乱暴に扉を閉めると、玄関へ向かった。
靴を履き、ドアノブに手をかけた。
私はこの瞬間が大嫌いだ。この瞬間、私の焦りと言う名の時計が動き始める。
ゆっくりと扉を開けた。するとそこには見慣れた姿があった。
「……杏子」
通路の転落防止柵の上に腰掛け、俯いていた彼女は罰悪そうに口を開いた。
「悪いな、その……後をつけるような真似をして」
「なんの用かしら」
恐らくさやかを助けるために手を借りに来たとか大方そんな所だろう。
まどかを頼らず自分のところに来た、という点が少々気になるが今は黙っておくことにした。
「相談がある」