12/05/30 18:42:00.67 r5879SGs0
「うー、契約契約」
今、魔法少女になってくれそうな子を求めて彷徨っている僕の名前はキュゥべえ。
遠い宇宙にある星からやってきた地球外生命体なんだけど、強いて変わってる所を挙
げるとしたら、殺しても死なないってことカナ?
「うぅ……と、う……さん……かあ……さん……ッ。痛いよ……っ」
ふとハイウェイの事故現場を見ると、一人の少女がひしゃげたセダンの車内で苦しん
でいた。
「うほっ! いい魔法少女候補ッ!!」
歪んだ窓から覗き込むと、中にいた女の子は頭から血を流して、息も絶え絶えの様子
だった。
外から入ってくる光を背負った僕の影が、彼女の小さな身体をスクリーンにして投影
される。
少女は僕の存在に気が付くと、花形の髪飾りで止めた縦ロールの髪の毛を僅かに揺ら
して、虚ろな目を少しだけ見開いた。
まぁ、地球のどこを探しても、どんな図鑑を調べても僕みたいな格好の生き物はいな
いから、驚くのも無理は無いだろうね。
「だ、れ……? 死神? それともあ、くま……?」
薄れ掛けた意識が予期せぬ遭遇で多少は持ち直したのか、少女は瀕死でありながらも
目の前に現れた僕が何なのか、戸惑うだけの気力を残しているようだ。
今の彼女の心理状態なら、もしかしたら僕の話を聞いてくれるかもしれない。
でも、選択の余地が無いままに契約を持ちかけるのって、あまり良い気はしないんだ
よね。
―何はさておき、これが僕と巴マミの出会いだった。