12/01/31 03:19:21.96 HZTIhote0
>>614
【乱れ飛ぶ衝撃波、その幾つかは確かに少女の身を掠めた筈、それでも彼女が歩みを止める事は無い】
【幾度切り裂いても無数に湧き上がる鋼の茨、それは彼女と同期して騎士を喰らい尽さんと延々迫る】
【最早身体も限界が近い、この脚ではこれ以上走り続ける事は出来まい】
【そう思考したなら、騎士は遂にその歩みを止め―いや、そうではなかった】
我が覇道は力の道、全てを捻じ伏せる異能のみを以て突き進む道
其処に立ち塞がる物もまた、異能に取り憑かれし者共……
端から茨の道である事は重々承知している―故に!
【不意に男は剣を強く握りしめたかと思うと、それを一つ大振って衝撃波を巻き起こし】
【それにより正面に出来た剣群の空白を、無謀にも雄たけびをあげて走り出す】
全身全霊を以て突き進むのみィ……!!
【最早傷ついた身体など知った事ではない、今為すべきは眼前の障害を切り捨てる事のみ】
【彼は深紅の鎧を自身の血で更に深く染めながら、彼の前に現れる刃という刃を斬り捨てながら、真っ直ぐに少女へ向けて駆ける】
【恐らく、彼が少女の前に辿り着く事は難しいだろう、既に彼の命は切り裂かれる寸前】
【しかし彼は立ち止まる事をしない、他者へ向けてきた非情さを、今この瞬間己へ向けてただ野望の為だけに突き進む】
【そしてもし少女の元へ辿り着いたのなら、己が信念の総てをかけた一斬で、道を切り拓こうとするだろう】