12/01/30 22:31:52.99 D/Vsl4+u0
>>367
【ずっと人を見ていた】
【少女を見ていたその目は、いつの間にか集団全体に向けられていた】
【そういえば、と改めて少女を見つけようとしたときに】
【現象は起こった】
・・・・・!?
【突如、自分の側頭部・・・いや、耳部に、温かく、柔らかい謎の感触が】
【一瞬、何が起こったのか分からず、ただ驚きと、小さな恐怖、そしてまた小さな温かみが身体を駆け巡る】
【数秒立ちつくした後、その言葉の主と、感触の根源が分かった】
【間違い無い、歌を歌っていた筈の少女だ、どうしてここに・・・?】
【ぞくり、と身体が震えるのを感じたと同時に、言葉を返さなければ、という思いが混じり】
【貴女は、一体・・・?】
【そう言えなかった】
【口から出たのは、少しの白い息だけ】
【喋れない、驚きで完全に忘れていたそれを、いま改めて実感した】
【伝える術は、読み書きくらい】
【だが、それができる物がある筈もなく―】
【ただ、首を横に振った】
【ゆっくりと、挟まれている耳と、挟んでいる唇に圧を出さないように】