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仙台市は筑波大、東北大と共同で、石油を作る藻「オーランチオキトリウム」の実用化に向けた
研究に乗り出す方針を固めた。東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた下水処理施設
「南蒲生浄化センター」(宮城野区)に集まる下水で、オーランチオキトリウムを増殖する実証
実験を本年度内に始める。
研究の第一人者として知られる筑波大大学院生命環境科学研究科の渡辺信教授は5日、
東北大関係者とともに奥山恵美子市長と会談し、連携の在り方を協議する。
実現すれば、再生可能エネルギーの生産、下水処理の費用削減を両立させた環境配慮型の
「究極の循環システム」(市幹部)が構築できる。市は「新次元の防災・環境都市」を基本理念に
掲げる震災復興計画で、シンボル事業の一つに盛り込む考えだ。
実証実験は、有機物を吸収して増殖するオーランチオキトリウムの性質に着目。南蒲生浄化
センターに流れ込む生活排水を使い、オーランチオキトリウムを増殖させて石油の生産量や
残りかすの成分を分析し、コストを含め大量生産に向けた基礎データを集める。
水温30度程度で増殖が活発になるため、下水処理の廃熱利用も検討する。
オーランチオキトリウムから石油を抽出する技術は、東北大大学院工学研究科が担う。
燃料だけでなく、化学原料にもなることから、産業振興の面でも期待は大きい。地元企業が参加
できるような枠組みも模索する。
渡辺教授は宮城県丸森町の出身で、東北大理学部を卒業した。関係者によると、藻類
バイオマスプロジェクトの推進に意欲的な渡辺教授は「東北の被災地の復興に貢献したい」と
して、今回の共同研究が実現したという。
東北の被災地では津波で浸水したり、地盤沈下したりした土地の有効利用が課題。実用化に
こぎ着ければ、オーランチオキトリウムの培養プールは有力な選択肢となる。
仙台市は「エネルギーや環境など、震災が浮き彫りにした多くの課題を解決できる可能性を
秘めており、東北にとって魅力的な構想だ」としている。
URLリンク(www.kahoku.co.jp)