11/08/01 07:34:55.77 gp1ly2cF0 BE:688125825-PLT(13998) ポイント特典
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俗にいう「フクシマ50」の定義はひどく曖昧だが、一般的には、「東京電力福島第一原発(以下1F)の1号機およ
び3号機が立て続けに水素爆発をした後、1Fに残った職員・作業員」となる。
東電は免震重要棟で指揮を執る吉田昌郎所長以外の「フクシマ50」を、プライバシー保護を理由に公開していな
い。東電社員の内訳、協力企業の人数や年齢、支給された危険手当の金額など、よく分かっていない部分が多い。
東電としてはフクシマ50を英雄のまま曖昧な存在にしておきたい。一方のフクシマ50にしても、守秘義務からか、
おおかた口が堅い。私はそのうち4人を知っているが、フクシマ50だとカミングアウトすることをためらっている。
そのうちの若いひとりを、佐藤としておこう。彼は3号機が水素爆発した直後、1Fへの“召集令状”を受け取り、地
獄絵図の中に降り立った協力会社幹部だ。
「社長は上会社から『死んでもいい人間を用意してくれ』といわれていたらしい。社長、もじもじしてて、なかなか『行
け』といわなかったですね。だから志願しました。だってうちの社長、熱い人だから自分が行っちゃいそうだったん
で。社長が死んだら社員が路頭に迷うけど、俺が死んでも代わりはいますから」
もちろん佐藤は自殺志願者ではない。これまで原発を生活の糧にしてきた贖罪だったわけでもない。
「居直るわけじゃないけど、誰も原子力や原発が社会的にどうのなんて考えず、普通の会社に就職する感覚でこ
の仕事に就いてるんじゃないですか? 原発が善か悪かなんて、深く考えたことなかったです。学校もろくに行って
ないんで、難しいことは得意じゃないし(笑い)。
最初に1Fへ入ったときは、たしかにドキドキしましたね。不謹慎かもしれないけど、それはどっちかといえば楽し
い気持ちで……。これまで威勢のいいこと、偉そうなこといってた人間がビビってたんで、『よし、じゃあ俺が行って
きてやる』みたいな。
(1Fに向かう)バスの中、みんな青白い顔して泣きそうなんです。話しかけられる雰囲気じゃなかった。でも俺、わく
わくしちゃって、みんなを写メで撮ってました。20代とか、若いヤツらのほうが元気だったですね。年取った人ほど
ブルってた。なにかあっても死ぬだけなのに」
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