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■■■「菅降ろし」なぜ起きた ちらつく原発タブー■■■
・「菅降ろし」の風は、なぜ今、急に、これほどの力を得たのか。
・初の市民運動出身宰相は、この国の禁忌に触れたのではなかったか。
・菅首相が原子力政策の見直しに傾斜するのと呼応するように、自民、公明、民主党内の反菅勢力の動きが激化。
・首相の発電・送電部門の分離検討、事故調査・検証委員会の設置決定、自然エネルギーの拡大方針に対し、自民党の谷垣総裁が不信任案を提出する意向を表明、公明党の山口代表も即座に同調。
・自民党の石原伸晃幹事長も発送電分離・原発停止を攻撃。
・民主党内でも小沢元代表周辺が五月の大型連休後、不信任案可決に向けた多数派工作をスタート。
・渡部最高顧問が「合同誕生会」を開催。渡部氏は自民党時代から地元福島で原発を推進してきた。
・日本経団連の米倉会長はこの間、首相の足を引っ張り続けた。
・戦後政治史を振り返ると、自民党と原発の関係は深い。
・1954年、中曽根康弘元首相は、原子力開発の関連予算を初めて提出、成立させた。
・保守合同で自民党が誕生した55年には、原子力基本法が成立。その後の自民党の原発推進政策につながっていった。
・74年には田中角栄内閣の下で、電源三法交付金制度がつくられ、各地に原子炉を建設する原動力となる。
・自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2009年分の政治資金収支報告書を見てみると、9電力会社の会長、社長ら役員が個人献金をしている。
・与謝野氏は政界入り前に日本原子力発電の社員。
・電力会社の労働組合である電力総連は、民主党を支援、原発推進を掲げてきた。
・電力総連は連合加盟の有力労組で、民主党の政策に大きな影響を及ぼしてきた。
・つまり、エネルギー政策の見直しを打ち出した菅首相は、これだけの勢力を敵に回した可能性がある。
・結局、菅首相は「死に体」となり、発送電分離や再生可能エネルギー拡大への道筋は不透明になった。
・「フクシマ」を招いた原子力政策の問題点もうやむやになってしまうのか。
・すべてを「菅政権の不手際」と矮小化させるシナリオが進行しているようにみえる。
■■ソース:中日新聞 平成23年6月3日 特報面■■