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検証・大震災:原発事故2日間
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官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを
要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。
放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。
「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。復旧
し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。
翌12日午前1時30分、官邸は海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。
だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢
を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な
措置」と位置づけられている。
「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の
現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。
行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして
決まった。