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政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の損害賠償支援スキームは、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなった。
「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。
別の外資系証券幹部は今回の政府のスキームについて「海外の投資家には理解できないスキームになっている」と指摘する。
巨額の賠償債務を抱えることになった東電は、通常ならまず株式が最初にき損することになる。
東電の株主資本は約2.5兆円ある一方で、賠償額の総額は現時点で判明していないものの、政府は5兆円のシミュレーションを作成している。
少なくとも2.5兆円を超える賠償債務を追った時点で株式は100%減資となり、次に貸出金や社債がき損していく順番をたどるのが、市場原理に基づいた通常の破綻処理のケースだ。
しかし、政府案では、東電が債務超過に陥って破綻しないように、特別法を策定して設立する「機構」が優先株を注入する。
「援助には上限を設けず、機構は必要があれば何度でも支援し、電力会社の債務超過を防ぐ」と盛り込んだ。
破綻しないことが確約された上場企業が誕生したことになる。
同スキームの作成に関わった財務省や融資銀行団の一部にさえ、「減資さえないことには、違和感を感じる」との指摘がある。
今回のスキーム作りには、経産省や財務省に加え、融資銀行の一角も参画した。
主力銀行の三井住友銀行は特別チームを立ち上げ、東電から賠償リスクを切り離す案を策定し、与野党や財務省に積極的に働きかけた。
同行の接触を受けたある民主党議員の秘書は「破綻に準ずる処理を進めれば、資本市場に与える打撃が大きい、と訴えられていた」と言う。
東電の株式は年金基金も多く組み込んでいるほか、社債の発行額は国内最大の約5兆円に上る。
東電の破綻処理は金融市場のシステミック・リスクに直結しかねず、“too big to fail”(大きすぎて潰せない)というわけだ。
ある財務省幹部は「銀行としては減資という事態になれば、その先には債権放棄や社債カットの世界が待ち受ける。
それを避けたかったのではないか」とみている。
URLリンク(jp.reuters.com)