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「学び直し」校 プラスアルファの魅力を
2011年5月2日
義務教育の学力が定着していない生徒が学び直しできる高校の設置を、県教育庁が検討している。
位置付けは「セーフティーネット的な学校」。小学校低学年レベルの基礎から定着を図り、進学を目指す生徒にも対応する。「新しいタイプの学校」に期待したい。
高校はいま「全入時代」だが、入って安心とはいかない。「超氷河期」の就職難が続き、
進学、就職に堪えうる素養を身に付けることが不可欠だ。教育格差が経済格差、貧困につながる悪循環を防ぐ意味でも、高卒の資格は必要だ。
「学び直し」は、東京都などで実施されている「エンカレッジスクール」がモデルになりそうだ。
既存の高校を組み換えて単位制、通信制などさまざまな教育支援へのニーズに対応している。
「エンカレッジ」は「励まし」の意。小、中学校で授業についていけなかったが、高校でやり直したい人を対象とする。
入試での学力試験、定期試験がないことが特徴だ。３０分授業、担任２人制、週１回は体験学習もある。きめ細かな指導で生徒のやる気を引き出す。
ことし２月、高校入試を前に県教育庁が合否判定基準を見直すよう各学校に通知し波紋を広げた。定員割れしている場合、定員内不合格者を出さないよう促す内容だ。
学校現場からは「成績が追い付かず、学習意欲がない生徒まで合格にすれば授業が成り立たない」と反発が上がった。
学習や生活態度の基礎が未確立の生徒をどう導くか、非常に悩ましい問題だ。
こうした折、現場の閉塞（へいそく）感を払拭（ふっしょく）し、生徒の学び直しへの意欲に応える意味でも、新タイプの学校に活路を見いだしたいところだ。
「特別支援教育」に象徴されるように、いま、一人一人の学習ニーズに応じたきめ細かな指導が求められている。
教える側の総合的な力量、教育効果を上げる教員の適正配置の在り方も問われている。
これまで「成果主義」に走るあまり、挫折する人への対策は後手後手という社会や学校教育でなかったか。
児童生徒が目を輝かせ、行きたがるプラスアルファの魅力ある学校づくりをどう再構築するのか。
教育哲学やシステムの根本的な問い直しも、忘れてはなるまい。
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