11/04/11 21:34:29.68 JJRgQ4iz0
「緒花ちゃーん」
本館から湯殿へ向かう渡り廊下を菜子が息を弾ませて降りてくる。
その時緒花は、開け放たれた窓から上半身を乗り出して、山間の温泉街を包み込む
精穏な春の光を敏感に感じとっていた。
唐突に花の髪飾りを照らした早春の冷たい風が、堅く守られた貞操を脅かし、
緒花の、やわらかくあまりにも敏感なその部分に触れたような気がして膝を閉じた。
「泡まみれの研修今からだよね?これ必要だから」
菜子が二本のモップを緒花に手渡す。
「モップですか?デッキブラシじゃなくて?」
「まぁ!デッキブラシなんて・・・あなた、きっとすごく大きな声出すわ」
菜子はふっくらとした頬に紅をさすと、好奇心を微笑みにまぎらわして緒花の背中をポンと押した。
無垢な仲居見習いをからかうように、白いモップの先が揺れた