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【底流】大林組、中国撤退“英断” 規制でこりごり、対中戦略に一石 (1/3ページ)
大手ゼネコンの大林組が、日本を抜き、世界2位の経済大国となった中国から撤退する。
中東の反政府デモの飛び火が懸念される民主化の遅れと同様に、建設市場の規制緩和が遅々として
進まないことに業を煮やしたためだ。日本も含め世界中の企業が巨大市場に群がるが、リスクも高い。
大林組の“英断”は、日本企業の対中戦略に一石を投じそうだ。
「中国では、“食あたり”を起こした」 大林組の白石達社長は、中国での事業はもうこりごりと言わんばかりに、こう語る。
同社は、平成14年に中国政府が外資の参入規制を緩和したのを受け、翌15年に現地法人「大林組上海建設」を設立したが、
4月にも閉鎖する方針だ。
経済成長による空前の建設ラッシュを背景に当初は年間50億円規模の売り上げを目指したが、実際は半分の約25億円にとどまっている。
中国でのめぼしい実績は、昨年開かれた上海万博の「日本産業館」の建設ぐらい。売上高全体に占める中国の比率は0・2%にも満たない。
目算が外れた最大の理由は、依然として残る細かな外資への規制だ。
最大の障害が、ライセンス制度。すべての工事が請け負える「特級」から、ビルの階数で制限した1~3級までの4段階の区分が設けられている。
大規模ビルのほか、道路や鉄道などの大型案件を受注するには「特級」の取得が必要だが、外資には実質的に門戸が閉ざされ、
大林組は、28階以下の中型ビルしか建設できない「2級」しか取得できなかった。
現地法人の資本金の最大5倍までしか受注できないという制限もあり、大型案件からは、ほとんど弾き出された。
大林組が見切りを付けた中国では、コロコロと変わる制度や技術の流出、合弁相手とのトラブルなど、
日本企業が煮え湯を飲まされたケースは、枚挙にいとまがない。
「当局は反政府デモを抑えようと躍起だが、民主化ドミノが中国に波及する可能性を考慮する時期にきている」(大手メーカー首脳)との声も聞こえる。
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