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クローズアップ現代
数年前までは若者の問題とされた引きこもり(ヒッキー)が30~40代に広がっている。去年(2011年)、内閣府が行った調査によると、引きこもりは全国に70万人、その63%が30代だった。
引きこもりになったきっかけは、就労経験不足や「就職氷河期」と呼ばれる状況の中で、望んでいた仕事に就けなかったというのが多い。
そして、いよいよ深刻となっているのは、彼らを支える親の高齢化だ。年金暮らしの親は、引きこもりの子供の面倒をもはや見られなくなってきている。
キャスターの国谷裕子は「親の年金を頼りに生活するヒッキーが増えているいま、親が亡くなった後をどう生き残るのか。再び社会復帰ができる手立てはあるのか」と問いかける。
「クローズアップ現代」は30~40代ヒッキーを持つ親たちの集まりである福岡県の「くすの会」を紹介した。40歳の息子が引きこもりとなっている71歳の母親は、「何をしたらいいのかわからない」と途方に暮れる。
引きこもり問題を長年取材してきた池上正樹(ジャーナリスト)はこう解説する。
「本人たちは社会に出て行きたいと思っているんです。でも、今の社会や経済情勢を見れば、出て行くのは難しいとあきらめてしまっています」
国谷が「雇用状況が厳しく、履歴書に空白の年数があれば就職も困難だという現実も分かるが、なんとかできないでしょうか」と聞くと、
「同居している家族の問題もあります。自分の家族に引きこもりがいるということを知られたくないと隠すことが多々あるんですね」と池上は話した。
番組ではこうしたヒッキーを積極的に採用している企業を紹介した。一緒に弁当を食べながら話しかけていく先輩社員や1日2時間の仕事からはじめて、8時間できるようになったら正式採用する。
池上は「行き詰まったら声を上げて欲しい、SOSを出して欲しい」と言うが、それができれば引きこもりにならないんじゃないか。国谷も「引きこもりの予備軍は150万人以上いると
言われています。そんな社会が正常な社会というのでしょうか」と疑問を投げかけた。年金暮らしの親と中年引きこもりの共倒れという事態が、目の前に迫っている。(抜粋)
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